こんにちは、Crazy Shrimp管理人の ebinaです🦐
今回は、「川でエビ採集したけど、種類がわからない!!」
と困ってる全国(特に関東)の皆様のお役に立てれば、ということで
ebina の独断で、採集しやすい順にまとめてみました(^o^)
▼見分け方はこちらの記事▼
類似種の項を作成しました。
類似種をクリックすると記事内移動
写真上の種名をクリックするとCSPLに移動するようにしました。
(2021年6月19日更新)
1. 採集難易度 ★☆☆☆(普通種)
ここに挙げた6種は川や用水路のガサガサで簡単に採集できます。
個人的に採りやすい順に並べてみました(^o^)
カワリヌマエビ属の1種
関東で唯一のカワリヌマエビ属。
図鑑によっては、シナヌマエビ Neocaridina davidi と表記。
中国などから釣り餌用、水槽用として輸入された外来種。
おそらく、観賞魚店で売ってるミナミヌマエビに混ざっている。
在来のヌマエビとの競合が問題となっている。
ミゾレヌマエビ
- 属:ヒメヌマエビ属
- 大きさ:最大で3.5cmくらい
- 生息地:河川中・下流域の緩流部など
- 色:透明, 赤, 青, 黒, 茶など
- 特徴:腰が曲がっている 額角が長い
- 類似種:ヌマエビ, ヌカエビ, ツノナガヌマエビ
腰が角ばっているヌマエビで、採集しやすい。
大型メスは体色があるが、小型オスは透明なことが多い。
死滅回遊種のツノナガヌマエビとの区別は顕微鏡が必要となる。
テナガエビ
和名がテナガエビなので、紛らわしい。
夏の夜にテトラポッドなどを照らすと観察できる。
唐揚げにして食べると美味しい。
ミナミテナガエビ
- 属:テナガエビ属
- 大きさ:はさみを含めず、最大で10㎝程度
- 生息地:河川中・下流域の緩流部など
- 色:褐色, 透明, 黄色, 赤色など
- 特徴:頭胸甲側面にm字模様
- 類似種:テナガエビ, ザラテテナガエビ
テナガエビと似ているテナガエビ( ´∀` )
種小名は「台湾の」という意味。
たま~に特徴のm模様が見づらいので注意!!
ヌマエビ
和名がヌマエビと非常に紛らわしい。
写真上がメス、下がオス。
つまり、オスは透明であることが多い。
かき揚げにすると美味しいが、額角が刺さるので痛い。
スジエビ
”手が大きくならないテナガエビ”という感じ。
A~C 3つのタイプがおり、そのうちAとBは関東にいる。
上写真がBで、下写真がAである。
要するに、Aの方がスジ模様が不明瞭。
2. 採集難易度 ★★☆☆(少しレアな種)
ここに挙げた4種は、少し探さないと採れないかもしれません。
ただ、場所によっては大量にいるというケースもあります。
ヒラテテナガエビ
- 属:テナガエビ属
- 大きさ:はさみを含めず、最大で9cmくらい
- 生息地:河川中・上流域の早瀬・淵など
- 色:茶色など
- 特徴:手が平たい 第3腹節背面に黒い横帯 頭胸甲側面に縦縞
- 類似種:関東では特にいない
基本、はさみ脚は左右非対称。
台湾では"大和沼蝦"と呼ばれている。
食べる際には、泥抜きをした方が良い。
逆に泥抜きせずに川底の味を楽しむのも...
ヌカエビ
ヌマエビと近縁な日本固有種のヌマエビ。
東・北日本を中心に生息している。
カワリヌマエビ属の1種による影響が深刻。
チュウゴクスジエビ
和名の通り、中国のほう移入された外来種。
頭胸甲側面の模様などでスジエビと見分けることができる。
釣り餌「シラサエビ」という名で売られていたことがあった。
トゲナシヌマエビ
- 属:ヒメヌマエビ属
- 大きさ:最大で3.5cm程度
- 生息地:河川全域、用水路など
- 色:透明, 褐色, 黒, 青, 緑など
- 特徴:額角上縁にトゲ(鋸歯)がない 腰が角ばらない
- 類似種:ウンモンヒメエビ
遡上力が強く、掬っても網の上を歩くことがある。
色々なところに生息しているが、関東だと比較的珍しい。
一方で、南西諸島では夥しい数がいる。
関東では12月下旬以降に激減する。
狙うなら夏~秋です。
3. 採集難易度 ★★★☆(かなりレアな種)
ここに載ってる2種は、なかなか採れないレアな種です。
しかも、両種とも関東で採れる中ではトップクラスの美しさ!!
これらが採れたら、自慢してもいいと思います() コメント欄にどうぞ~
ヤマトヌマエビ
- 属:ヒメヌマエビ属
- 大きさ:最大で5.5cmくらい
- 生息地:河川最上流域、沢など
- 色:地色は透明や黄色、赤、青など
- 特徴:体側に4本のドット線が見られる 尻尾に青い模様
- 類似種:ウンモンヒメエビ(幼体)
観賞魚店でも売られており、非常に美しいが、幼体は模様が薄い場合がある。
種小名は、たくさんの鋸歯という意味。
かなり大型のヌマエビで、迫力がある。
過剰な採集は絶滅の元です。やめましょう。
ヒメヌマエビ
- 属:ヒメヌマエビ属
- 大きさ:最大で2.5cmほど
- 生息地:河川中・下流域
- 色:褐色, 赤, 黒, 青など
- 特徴:頭胸甲上に鋸歯が多い 独特な模様
- 類似種:カワリヌマエビ属の1種
関東だと、かな~り珍しい印象。
模様は2パターンあり、
1枚目のような横縞タイプと
2枚目のような縦縞タイプがある。
非常に美しいヌマエビだが、色は変わりやすい。
トゲナシヌマエビ同様、冬になると姿を消すので採集するなら夏~秋が狙い目。
4. 採集難易度 ★★★★(死滅回遊種)
この7種は南の方から関東圏にやってくる、いわゆる死滅回遊種です。
ほとんどの場合、8月下旬~12月上旬でしか見れないです。
ただ、時期とポイントを押さえればきっと採集できる!!
(注) 関東で採れる個体は、写真よりもはるかに小さい
コンジンテナガエビ
死滅回遊エビの中では記録数が多い。
むしろ、ヒメヌマエビよりも採集しやすい場合も。
在来の淡水エビの中で最も大きくなるエビ。
一度、天ぷらにして食べたいなぁ。
ザラテテナガエビ
- 属:テナガエビ属
- 大きさ:はさみを含めずに最大8.5cm程度
- 生息地:河川中・下流域の緩流部
- 色:写真のような色が多い
- 特徴:額角が細長く、上方に湾曲 はさみが左右非対称 頭胸甲側面に3本の斜横線
- 類似種:ミナミテナガエビ, スジエビモドキ
片手が異常に長くなるテナガエビである。
コンジンテナガエビよりも個体数が少なく、珍しい。
南のほうに、こいつのそっくりさんがいるらしい。
幼体の識別は、コンジンテナガエビよりも容易だが、汽水性のスジエビモドキと似ているため、誤同定に注意。
ウンモンヒメエビ
普通にガサガサして、採集できるエビではない。
トゲナシヌマエビとかなり似ているが、額角上縁歯を持つ。
種小名は、フィリピンのラオグという地名から。
経験上、南西諸島でも比較的珍しい。
オニヌマエビ
- 属:オニヌマエビ属
- 大きさ:最大で7㎝を超える
- 生息地:河川中・上流域の早瀬など
- 色:茶色, 黄色, 灰色, 緑褐色など
- 特徴:色々ある。CSPLを参照。
- 類似種:特になし
ウンモンヒメエビ以上に採集が難しいレア種。
日本最大のヌマエビ類だが、関東では幼体のみ。
採集できれば、同定には困らない。
観賞魚店で売られているアジアロックシュリンプは近縁種。
コツノテナガエビ
- 属:テナガエビ属
- 大きさ:最大で10cm超えない程度
- 生息地:河川最上流域*
- 色:透明, 褐色, 濃褐色など
- 特徴:第2胸脚腕節が短い 額角上縁歯が少ないことが多い
- 類似種:コンジンテナガエビ(幼体)
近年、関東圏に回遊してきていることが判明したエビ。
レア度に関しては、言うまでもない。
幼体は、腹節に横縞模様が出るのが特徴。
成体では縞模様が不明瞭になるが、はさみ脚が特徴的な形状となり、非常に格好いい。
*関東では、遡上途中の幼体しか記録されていない。
そのため、河川中流域の緩流部を狙うのがおすすめ。
イッテンコテナガエビ
ebina も関東では採集したことがなく、極めて珍しい。
そもそも南西諸島でもあまり採集したことがない。
和名にテナガエビとつくが、スジエビの類である。
ツノナガヌマエビ
関東では、かなり前に千葉県で記録されて以来、記録なし。
ミゾレヌマエビと酷似しており、網に入っても気づかないのが現状。
額角がミゾレヌマエビより長いのが特徴だが、額角が短い個体も多い。
結局のところ、肛門前棘を確認しないと同定できない。
これらの種に加えて、ユビナガスジエビ、シラタエビのような汽水性のエビがいますが、今回は載せていません。
ちなみに論文等は発表されていませんが、今回紹介していないような珍しいエビがまだまだ採集されています。興味を持った人はぜひぜひ淡水エビ採集に挑戦してみてください!!
今回の記事では、関東で記録されているエビたちを簡単にまとめてみました。
詳しい同定方法は下の記事でまとめましたので、そちらも是非活用してください!
初心者ながらこれからも記事を作成していくので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
▼同定方法の記事はこちら▼
▼今までの記事一覧はこちら▼
参考文献一覧
・川井唯史・中田和義, 2011. エビ・カニ・ザリガニ 淡水甲殻類の保全と生物学, 生物研究社, 東京.
・豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.
・丸山智朗, 2018. 相模湾および周辺海域流入河川において 2016 年 8 月以降に採集された熱帯性コエビ類 5 種の記録. 神奈川県自然誌資料 (39): 31-38.
・西田一也, 2018. 相模川城山ダム下流域における在来生物ヌカエビParatya improvisaと外来生物カワリヌマエビ属エビ類Neocaridina spp.の流程分布. 神奈川自然史資料(37): 21-24.
・張 成年, 柳本 卓, 丸山智朗, 池田 実, 松谷 紀明, 大貫貴清, 今井 正, 2018. スジエビ Palaemon paucidens の遺伝的分化. 日本生物地理学会 73: 1-16.
・Magalie CASTELIN, Valentin de MAZANCOURT, Gérard MARQUET, Gabrielle ZIMMERMAN & Philippe KEITH, 2017. Genetic and morphological evidence for cryptic species in Macrobrachium australe and resurrection of M. ustulatum (Crustacea, Palaemonidae). European Journal of Taxonomy 289; 1-27.