Crazy Shrimp

Crazy Shrimp is not as crazy as it sounds, but sometimes lazily and sometimes intensively, collects, researches and observes not just Japanese freshwater shrimps and prawns, but also saltwater shrimps, fish and many other aquatic creatures.

ヤマトヌマエビ Caridina multidentata

f:id:ebina-1:20201215134103j:plain
ヤマトヌマエビ Caridina multidentata
十脚目>抱卵亜目>コエビ下目>ヌマエビ科>ヒメヌマエビ属

茨城県鳥取県から南西諸島まで広く分布しているヒメヌマエビ属の1種。
観賞魚店などでコケ取り用のヌマエビとして売られていることも多い。
最大で体長55㎜を超える大型なヌマエビで、小型のテナガエビよりも大きくなる。

水槽にいるものしか見たことがない人は知らないかもしれないが、河川上流域に生息していることが多い。
そのため、遡上力はすさまじく10m程度の砂防ダムや堰であれば、難なく乗り越える。

上述したように、河川上流域の清流を好むエビであるため、自然下で観察すること機会は少ないが、トゲナシヌマエビやヒメヌマエビとは異なり、冬の関東圏でも普通に観察することができる
実際、筆者が12月に本種を確認したときの水温は9℃であったため、低水温に対する耐性は他のヌマエビ類よりも秀ででいると思われる。

しかし現在では、本種の北限は太平洋側と日本海側ともに、トゲナシヌマエビやヒメヌマエビよりも南側である。

 

筆者の経験上、河川上流域の清流を好むため採集するのは難しいが、場所によっては優占していることが多い。
しかし、八重山列島では本種が生息している環境は少なく、採集が非常に難しいと感じる。

種小名の「multidentata」は、「たくさんの鋸歯を持つ」という意味。

f:id:ebina-1:20201215135243j:plain
額角歯式は 0+13-30/3-18 と、名前の通り多くて数えるのが大変である。
(上の写真は和歌山県産の個体)

体色に関して、地色は半透明や緑色、赤色など多少の変異が見られるが、体側に平行な4本の点線が見られるのが本種の最大の特徴である。
雄の場合、この模様は明瞭な点線であるが、雌は鎖のような模様になる。
ただし、雄でも最上部の線は鎖状に見えることもあるので注意したい。

f:id:ebina-1:20210422113613j:plain
また、尾肢には青色と白色の模様が出るのも本種の特徴である。
個人的な経験であるが、この模様は産地によって多少変異があるように感じる。
ちなみに、上写真は左が石垣島産で右が沖縄島産である。

 

f:id:ebina-1:20201215140044j:plain
関東で採集された個体
本種の最大の特徴は、体側に並行する4本の点線である。

f:id:ebina-1:20201215135845j:plain
関東で採集された雌の個体
雄と同様に4本の線が並ぶが、点というより線に近い模様である。

f:id:ebina-1:20201215140657j:plain
近畿地方で採集された個体
写真では少しわかりづらいかもしれないが、尾肢表面に青い丸模様や白い斑がみえる。
ただ、この美しい色の模様は色が抜けやすいように感じる。

f:id:ebina-1:20210422140120j:plain
八重山列島で採集された雄の個体
上述したように、本島~関東で普通にみられる本種であるが、八重山列島ではめったに見ることができないヒラテテナガエビでもこのような傾向があるため、分散パターンが似ているのかもしれない。

f:id:ebina-1:20210422140125j:plain
八重山列島で採集された抱卵個体
上記で雌の体側の模様は鎖状になるとしているが、この個体の2列目と4列目は雄のような点線であった。このように、模様での性別判定は曖昧になることがあるので注意が必要である。

f:id:ebina-1:20201228184256j:plain
東海地方で採集された幼体
体長2㎝未満の個体であったが、体色がはっきりとしており本種の特徴である体側の模様が鮮明である。全体的に緑色の色素胞があり、非常に美しい個体だ。

f:id:ebina-1:20201215150244j:plain
関東で採集された幼体
体長が小さい個体は体側の模様が不明瞭であることが多いので、リュウグウヒメエビ等と誤同定しないように注意したい。
ヤマトヌマエビのほうが体が細長い傾向があるので判別可能。

f:id:ebina-1:20201215151017j:plain
関東で採集された幼体の額角
余談ではあるが、関東で採集したリュウグウヒメエビ額角歯式のみで同定するのはお勧めしない。

経験則だが、関東産のヤマトヌマエビの上縁歯数は少ない傾向があることに加え、13㎜未満の個体では額角歯数が成長段階にあることもある。
結果、写真のようにヤマトヌマエビでありながら上縁歯数が12歯以下という個体と遭遇しやすい。

ヤマトの稚エビは写真のような額角(細くて長い)であることが多いので、区別は不可能ではない。
ただ、一定期間飼育した方が同定の制度はよいだろう。

 

CSPLホームに戻る

 

参考文献一覧
・丸山智朗, 2016. 本州日本海側における両側回遊性コエビ類の分布について. Cancer 25: 55-60.
今井正, 2004. 秋田県鶴潟沼に生息するヌカエビの成長に伴う額角歯の増加. 水産増殖 52(3): 259-264.
・諸喜田茂充, 2019. 淡水産エビ類の生活史-エビの川のぼり- Life History of Freshwater Shrimps. 諸喜田茂充出版記念会, 東京.
・豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・
カニ図鑑, 緑書房, 東京.