Crazy Shrimp

Crazy Shrimp is not as crazy as it sounds, but sometimes lazily and sometimes intensively, collects, researches and observes not just Japanese freshwater shrimps and prawns, but also saltwater shrimps, fish and many other aquatic creatures.

ヒメヌマエビ Caridina serratirostris

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ヒメヌマエビ Caridina serratirostris
十脚目>抱卵亜目>コエビ下目>ヌマエビ科>ヒメヌマエビ属

南西諸島から関東や石川県にかけて分布する。
沖縄島や西日本では比較的個体数が多いが、関東や八重山列島では個体数はあまり多くないように感じる。

経験則だが、一般的に見られるヒメヌマエビ属の種(トゲナシヌマエビ、ミゾレヌマエビ等)よりも採集が格段に難しい
(無論、リュウグウヒメエビやサキシマヌマエビよりは採集しやすい)

体長は25㎜程度と、和名の通り小型のヌマエビである。

本種は、頭胸甲上に多くの鋸歯を有する点が特徴的である。
実際、種小名「serratirostris」は、「鋸歯状の額角の」というような意味であり、記載される際にもこの形態的特徴が注目されていたと考えられる。

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額角歯式は 7-8+10-17/2-9 とされているが、当てはまらないこともある。

本種は、近縁種のコテラヒメヌマエビと酷似している。
さらに文献によると、これらの種の中間的な形質を示す個体が発見されていることもあって、かつてこの2種を亜種とする意見もあった。

2020年の C学会において、このような分類的問題に関する発表があったと聞いているが文献等は公表されていないため、本ブログでは論文等が発表されるまでこの2種を同種として扱うことにする。

日本では Caridina という属名ヒメヌマエビ属と称しているため、人によってはヒメヌマエビがこの属のタイプ種だったり、最も普遍的であると感じるかもしれない。
しかし、ミトコンドリア16SrRNAやCytochrome oxidase subunit 1 を用いた研究によって、他のヒメヌマエビ属とはかなり早い段階で分岐しており、他種とは系統的に一線を画していることがわかっている。

 

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関東産の個体
ヒメヌマエビには大きく2つの体色パターンがある。
1つ目は白い横縞模様が入る個体である。おそらく、ヒメヌマエビと聞いて想像するのはこのような体色であると思われる。

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関東産の個体
もう一方の体色は、無地に正中線に一本線が入るタイプ。
上のより少し地味かもしれないが、関東ではこの体色のほうが多いと感じる。

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関東産の個体
ヒメヌマエビは全体的に赤色になる個体が多いと感じる。
この熱帯性の種を彷彿させるような色彩から、本種の飼育を考える人は多いかもしれない。筆者は実際に飼育したことがあるが、この体色の維持は非常に難しいと感じた。

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沖縄島産の個体
赤が多いと書いたが、カラーバリエーションは豊富である。
ただ、このような青い色彩の個体はあまり見たことがない。

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東海地方産の個体
個人的な経験だが、ヒメヌマエビの体色には茶~赤型青~黒型の2タイプが存在するように感じる。写真のような漆黒の個体は、色が薄まると青色になることが多いように感じる。

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関東産の幼体
熱帯性コエビ類の採集をしていると、10㎜程度の個体をよく見る。
このサイズでは写真のような体色をしていることが多い。

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紀伊半島産の個体
あまり採集したことはないが、写真のように縞模様がたくさん出る個体もいる。
正直、筆者の主なフィールドである関東ではなかなか見ることができない体色なだが、撮影を真面目にやらなかったことに後悔している。

 

上述した通り、コテラヒメヌマエビとの外部形態での識別が可能になるとの文研が発表され次第コテラヒメヌマエビのページを作成する予定です。
また、ヒメヌマエビ類は体色のバリエーションが豊富なので、ここに載せていないような体色の個体の撮影が終わり次第、更新していく予定です。

 

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参考文献一覧

・豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.
・豊田幸詞, 関慎太郎, 2014. ネイチャーウォッチングガイドブック 日本の淡水性エビ・カニ 日本淡水性・汽水性甲殻類102種. 誠文堂新光社, 東京. 
・朝倉彰, 2011. エビ・カニ・ザリガニ 淡水甲殻類保全と生物学 1 .4 淡水産コエビ下目の生物地理 75-102. 生物研究社. 東京.
・Page, T. J., Cook, B. D., Rintelen, K. v. & Hughes, J. M., 2008. Evolutionary relationships of atyid shrimp imply both ancient Caribbean radiations and common marine dispersals. Journal of the North American Benthological Society, 27: 68-83.
・鈴木廣志, 佐藤正典, 1994. 淡水産のエビとカニ, 西日本新聞社, 福岡.