Crazy Shrimp

Crazy Shrimp is not as crazy as it sounds, but sometimes lazily and sometimes intensively, collects, researches and observes not just Japanese freshwater shrimps and prawns, but also saltwater shrimps, fish and many other aquatic creatures.

トゲナシヌマエビ Caridina typus

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トゲナシヌマエビ Caridina typus

十脚目>抱卵亜目>コエビ下目>ヌマエビ科>ヒメヌマエビ属

琉球列島から福島県・石川県まで分布しているヌマエビ類の1種。
聞きなれない和名から、多くの人が珍しいエビと思うかもしれないが普通種である。

和名の通り、額角上縁に鋸歯が無いため「トゲナシ」と呼ばれているが、稀に1歯ある個体がいるらしい。
勝手ながら「幻のトゲアリトゲナシヌマエビ」と呼んでいる。(なお、見たことはない)

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額角歯式は 0+0/0-4 と、写真のように額角下縁には歯がある場合もある。
日本に生息するヒメヌマエビ類は、本種を除いてすべての種で上縁歯を有するため、額角を観察することで容易に同定することができる
ただし、西表島固有種のカワリヌマエビ属、イリオモテヌマエビは上縁歯を持たないことがあるので他の形態的特徴も確認した方がよいだろう。 

額角の短さ指節の短さ、なめらかな体のラインから、いかにも上流に適応しているように見えるが、河川全域に生息しており、用水路潮だまりにも出現することがある。

上記の説明だけ読むと、どこでも優占ように感じますが、経験上、関東での個体数は控えめで、限られた水域で優占していることが多い。
加えて、ヒメヌマエビのように12月あたりから急激に個体数が減少する。少なくとも、筆者は温排水の影響を受ける水域を除いて、1月以降に本種を見た記憶がない。

このことに関して、本種が冬の低水温に耐えられずに死滅しているという可能性が高いと感じる一方で、5月頃に体長20㎜超の個体が採集されることもあり、越冬しているようにも感じる。

余談だが、琉球列島ではおびただしい数が優占しており、形態的に類似している他の種との同定を難しくしている要因となっていると感じる。

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色彩の特徴としては、正中線上の縦線に対して「^」模様が入ることが多い
加えて、正中線上に点線が出る個体も少なくない。

また、頭胸甲側面にはリュウグウヒメエビのような雲紋(~のような模様)が出ることがなく、小斑がランダムに出ていることが多いと感じる。

個人的な経験則だが、幼体ほど額角は短く、成体は割と長い傾向がある。
この点を用いて、幼体の額角が比較的長いヤマトヌマエビリュウグウヒメエビとの区別ができることが多いと感じる。

上記で説明した体色、額角長の特徴はあくまでも傾向があるというだけで、すべての個体に共通した特徴ではない。

 

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石垣島で採集された抱卵個体

正中線上の縦線に対して垂直な横帯が入る個体。
基本的に斜めの線が入ることが多いが、この個体のようにリュウグウヒメエビに酷似した色彩を持つ個体もいる。

 

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沖縄島で採集された個体

腹節背面の断続的な模様がわかりやすい個体。
このような模様は、本種に類似した他種ではあまり見られないと感じる。

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沖縄島で採集された個体

あまり見かけることがない青緑色を呈した個体。
上述したように、本種の色彩変異は非常に豊富であるため、一般的な本種の体色が何色なのか今一つわからない。

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関東の用水路で採集された個体

この個体は上述した5月頃に採集された個体である。
数日後に訪れた際には抱卵個体も見られたことから、冬場でも死滅していないのかもしれない。
余談だが、筆者は本種の体色としてこのような褐色の個体がもっとも多いと感じる。

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与那国島で採集された個体

体側に白色や濃い緑色の斑が並んでおり、ミナミオニヌマエビのような雰囲気である。
理由はわからないが、与那国島ではこのような体色の個体が少なくなかった。

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石垣島で採集された抱卵個体

このような濃色は、大型雌で見られることが多い。
ミゾレヌマエビやリュウグウヒメエビオオバヌマエビなどでも同様な体色の変化傾向が見られるため、この変化はヌマエビ類にとって利点があるのかもしれない。

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石垣島で採集された個体

沖縄県には、形態が似ているヌマエビ類が多く生息しているので同定には細心の注意が必要である。この個体のように正中線の模様で同定ができない場合は、額角上縁の鋸歯を確認する必要があるだろう。

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東海地方で採集された幼体

写真だとわかりにくいが、額角がかなり短く、眼の中間くらいである。
体色は薄い緑色で、背側の雰囲気がミナミオニヌマエビに似ていると感じる。

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与那国島で採集された幼体

体長は上の個体より一回り大きいが、幼体としてはかなり額角が長い個体。
このような個体は、形態的に類似しているリュウグウヒメエビ等と誤同定しないように注意したい。

 


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参考文献

・豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.
・丸山智朗, 福家悠介, 2018. オオバヌマエビの沖縄島からの初記録. Fauna Ryukyuana, 43: 11-17.
・丸山智朗, 乾直人, 池澤広美, 2018. 温泉水の流入する釜戸下流域(福島県いわき市)における十脚甲殻類の記録. 茨城県自然博物館研究報告(21): 135-142.
・丸山智朗, 2017. 越前・能登佐渡の河川で採集されたコエビ類. Cancer 26. p35-42.