Crazy Shrimp

Crazy Shrimp is not as crazy as it sounds, but sometimes lazily and sometimes intensively, collects, researches and observes not just Japanese freshwater shrimps and prawns, but also saltwater shrimps, fish and many other aquatic creatures.

ミナミオニヌマエビ Atyoida pilipes

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ミナミオニヌマエビ Atyoida pilipes
十脚目>抱卵亜目>コエビ下目>ヌマエビ科>ミナミオニヌマエビ属

口永良部島以南の南西諸島や小笠原諸島から記録されているヌマエビ類。
和名にオニヌマエビとつくことから大型なヌマエビであると思うかもしれないが、体長は36㎜程度トゲナシヌマエビとほとんど同じ大きさである。

環境省レッドデータブックで準絶滅危惧種に指定されているが、八重山列島の一部の水域での個体数は少なくなく、むしろ優占していることもある。
ただし、そのほかの地域ではあまり見ることができない稀種である。

 

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オニヌマエビと同様に、第1・2胸脚のはさみに長い剛毛を有し、剛毛を網のように広げることにで上流域から流れてくる浮遊物を摂食している。
(しかし飼育した経験上、オニヌマエビほど剛毛を広げた摂食を行わず、通常のヌマエビ類のようにツマツマすることも多い)

そのような生態から、河川上流域の岩や堰の壁面に流れる急流というような特殊な環境を好む(下図)。
基本的には、オニヌマエビよりも上流域で優占していることが多いが、急流のままで海にそそぐ河川では比較的下流域でも見られることがある。

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このような激流のなかで生息しているため、形態的に水の抵抗を受けにくい形になっている。

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額角は非常に短く下方に湾曲しており、急流域に適応している。
歯式は 0+0/0-3 と、写真のように下縁に歯を有することがある。
また、第1触角柄部も下方に湾曲しているため、つぶれたような顔をしている。

体色は1番上の写真のように緑色であることが多いが、環境に応じて茶褐色や白色の個体も見られるため変異に富むと考えられる。
また、体側には明瞭な黒斑の列が並ぶため、生態的に類似しているオニヌマエビとは容易に区別することができる。(むしろ、体色からヤマトヌマエビに似ていると感じる)

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本種が属するミナミオニヌマエビ属は第3顎脚先端に棘を有するという点で、オニヌマエビ属と形態的に区別することができる。

 

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沖縄島産の個体

最も基本的な体色だが、青緑色の体色が非常に美しい。
このような成体は沖縄島ではほとんど見ることができない

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沖縄島産の個体

まだ若い個体だが、体色が濃く美しい個体である。
個人的に色彩がヤマトヌマエビに似ていると感じる。

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八重山列島産の個体

上の2個体と比べて体色が薄く黄色い個体。
本種は、採集した環境によって体色が異なることが多いと感じる。

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八重山列島産の幼体

この個体は全長1~1.5㎝程度であったが、体側の模様ははっきりとしているため同定は容易である。
ちなみに、このような幼体であっても成体と同所的に採集されたため、本種は早い段階で高い遡上性を有することが推測される。

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沖縄島で採集された本種と思われるヌマエビ類

この個体は全長5㎜程度の個体であったが、形態的にミナミオニヌマエビであると推測される。
さすがにこの大きさでは明瞭は黒斑などの特徴は見られないが、採集された場所は河口から1㎞程度の中・上流域であったため、着底から間もない個体でも遡上性が高いことが推測される。

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八重山列島で観察されたミナミオニヌマエビの群集

写真がわかりづらいが、壁に張り付いているのはすべてミナミオニヌマエビである。
急流の壁面に密生している様子は壮観であるが、少し不気味である。


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参考文献一覧

豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.
・豊田幸詞, 関慎太郎, 2014. ネイチャーウォッチングガイドブック 日本の淡水性エビ・カニ 日本淡水性・汽水性甲殻類102種. 誠文堂新光社, 東京. 
・丸山智朗, 福家悠介, 2018. オオバヌマエビの沖縄島からの初記録. Fauna Ryukyuana, 43: 11-17.
・佐伯智史, 2018. ミナミオニヌマエビ. 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版(動物編) —レッドデータおきなわ—. Pp. 326, 沖縄県環 境部自然保護課, 那覇市.