Crazy Shrimp

エビ好き大学生による淡水エビ布教ブログ

世界川エビ紀行 #18 ~ Bogor - 2


はーい、ebina です〜
今回は、世界川エビ紀行 🇮🇩 ボゴール編の続き(というより本編)を書いていきます(^o^)

前回ご紹介した通り、インドネシア到着後はボゴール農科大学(IPB)の先生とお会いし、ジャカルタ湾での調査に同行させていただき、
その後、IPBの国際ドミトリーに入れてもらい、終日大学内で生活しておりました(^^)

しかし、滞在先の大学周辺の交通事情はカオスで、右も左もわからないebinaには一人で川に行き、ましてや採集するなんて、とてもできる状況ではありませんでした。

そこで、どうしても🇮🇩のエビが見たかったebina は、ダメ元で大学の先生に「川に連れて行ってください!」、とメールし続けていましたインドネシア入国前からお願いしていましたが)

結果、大学の寮に移動してから2日ほど経ってから、急遽、先生とその学生さんと共に河川での調査を実施してもらえることになり、ありがたい限りです!!

ところで、このボゴールという都市ですがジャカルタから車や電車で2時間ほどの位置にあるベッドタウン的な都市で、日本でいう埼玉県のような都市

ジャカルタとボゴール間を走行する電車。
シンガポールやタイとは異なり、車両は完全に日本の中古。

加えて、現在のインドネシアは、かつての日本のように環境への意識が極めて低く、ゴミや生活排水垂れ流し
まぁ街に流れる河川(もといドブ川)を見る限り、川エビなんて生息しているようには見えません。

しかし、先生と共に向かう調査地は、大学から数キロ圏内。
正直なところ、行く前から嫌なイメージしか湧きませんでしたが、到着した河川がこちら💁


一見すると普通に良さそうな川に見えます。
が、すぐ下流の淵を見ると…

な、なんか水が白く濁ってる…(^_^;)
ちなみに川の中に入っている方は、IPBの技術員の方。
インドネシアの方は、この濁りを気にしないのかしら・・・

ちなみに、この日から合計で4回も河川での調査に連れて行っていただいたのですが、どれもボゴール市内の河川だったため、なかなかひどい環境でした(T_T)


2回目に訪問した河川。ゴミさえなければすごく良い環境だっただろうに・・・
もちろん、川の色は先日同様、謎の白濁りです。

流石に、ウェダーを履いているとはいえこの環境で水に浸かるのはリスクが高く、サンプル収集については99% IPBの技術員の方々にお任せし、私は撮影と同定に徹することに(初回はガサガサしましたが(^_^;))。


ちなみに、研究のための採集では、投網のほか写真のようなエレクトロフィッシング(電気ショッカー)が使用OKらしいです!

初めて、電気ショッカーでの採集を見学させていただいたのですが、ガサガサとは採集効率がダン違いでびっくり(@_@;)
今まで、日中に採れずに苦戦していた大型のテナガエビが次から次へと網に入っていきます!
てか、こんな汚い環境に生息してたんかーい

おかげで、自らの手を汚すことなく(?)、たくさんの生き物を観察することができたので、紹介させてくださいな〜(^o^)

ち☆な★み☆に!
今回の採集旅行は、現地に赴き、実物を見て、その生時の色彩を記録することが目的ですので、自分の手で採集する点に拘りはありません。
勿論、自分で採集することでしか知り得ない、ミクロハビタットを知り得る機会を失うのは残念ですが、仕方がなし。


タガニ類?

インドネシアに来て初めて採集した生き物は、こちらのカニでした。なんか前も見たような・・・っていうのが第一印象。


コイ科ネクトン

相変わらずの解像度で申し訳ありません〜
この手の魚はどれも同じに見えてしまう。いや、むしろ同種…?


Rasbora属の1種

うわぁ~、なんかこれも🇲🇾サラワクで見たラスボラとそっくり。


Acanthocobitis属の1種

あれっ、これもサラワクで同じようなのを見たよね。
若干模様は違うっぽいけど、個体差かしら?


Glyptothorax属の1種

サラワクで見たやつとはサイズ感が違うものの、おそらく同属のナマズだろうと。


Macrognathus属の1種

これに関しては、サラワクでもマレー半島でも見てきたやつと見た目がそっくり。

まぁ、すっとぼけながら書いてましたが、これまで見てきたような生き物ばかりが採れるのは当然。
というのも、今まで滞在してきた🇸🇬、🇲🇾、🇹🇭、そしてボゴールが位置する🇮🇩ジャワ島などは、海水面が低かった頃はスンダランドという一つの陸域となっていました。
そのため、同種、あるいは姉妹種が各所に生息しており、結果として似たような生物相が見られると行った感じでしょうか。

まぁ偉そうに解説してますが、海外に出る前はスンダランドなんて意識したことなんてなく、ここまで生物相が類似するなんて思っても見ませんでしたが(^_^;)


Macrobrachium empulipke

ということで、私がこれまで探し回っていたM.pilimanus種群もスンダランド一帯で特異的に見られるテナガエビ類。
このあたりの地史には疎いため、深い考察もできませんが、この手のエビの系統関係から、かつてスンダランドを流れていた河川の形態やつながりが垣間見えるようで、興味深いです。


M.empulipke

実は、ここボゴールは別のM.pilimanus種群、M.leptodactylus(結構古くから記載されている、ピリマヌス御三家の1匹)のタイプ産地だったので、同定する前はそっちだとばかり思ってたんですよね。
エンプリプケは2010年と比較的最近記載されたものの、分子系統を用いた比較はされていないので、実はこの2種は同種、あるいは形態変異が大きく、必ずしも形態と遺伝子の差異が伴わないのではないか、なんて思っています。
もっとも、形態学をまともに取り組んでいない私の誤同定というオチが一番ありそうですが(^_^;)


M. sintangense

これもスンダランドを代表する純淡水性のテナガエビ類で、ちゃんと漁獲している地域もあるほど。
日本のテナガエビとの系統関係を把握していないのですが、形態や頭胸甲側面の模様は瓜二つ。ただ、はさみの指が軟毛で覆われる点が大きく異なります。
後々知ったのですが、このエビもボゴールがタイプ産地だったんですね(^_^;)


M. lanchesteri

あぁ、これも🇹🇭で見たし、スンダランドの・・・
って騙されてはいけません!!!!
これは🇮🇩では国外外来種です(@_@;)
ちらっと見た論文によると、上のシンタンゲンセが減って、コイツが増えている地域もあるとか。


Caridina属の1種

雰囲気はサラワクで見たC.temasekと類似していますが、額角歯式等が異なっており、別種でしょう。
ただ、スラウェシを除くインドネシアの純淡水性ヌマエビの研究は圧倒的に不足しており、同定する術がない・・・

という感じで、とりあえずボゴールの河川の良さげな生き物を紹介してきましたが、
残念ながら、こんな市街地の川で外来種問題が蔓延ってないわけがないんですよね・・・


スリースポットグラミーの改良品種?

ちゃんと先生に確認したところ、外来種とのこと。
まぁ、これくらいはかわいいもんですね。


調査で得られた外来魚たち

大量のマダラロリカリア(サプサプ)に加え、真ん中のはピラニアですよ・・・
他にも、観賞用の小型のプレコや金魚、プラーチョン(在来かもしれませんが)など、外来種のオンパレードっていう感じでした。。。

ということで、世界川エビ紀行🇮🇩ボゴール編はこれにて終了になります!

本当は、こんな汚いボゴール市街地だけじゃなくて、もっときれいな環境や両側回遊種が見られる地域にも行ってみたかったのですが、ご行為で同行させていただいている身だったので、なかなか言い出せず。
結局、面倒を見てくれた学生さんにぼそっとこぼしたら、「もっと早く言えよ」って言われた次第(T_T)
せっかく海外に来ているのだから、図々しく思われても、もっと主体的に動くべきだったなぁと少しばかり後悔しています・・・
まぁ、今後、スマトラ島にも行く予定なので、スンダの両側回遊種はその時にリベンジしましょう!

とはいえ、IPBのご協力の元、豊富なサンプルを使って同定に取り組めたことは非常に良い経験だったと思います。
また、スンダランドの生物相のつながりを実際に見て学ぶことができたので大満足です。

ちなみに、滞在中に河川での調査で学んだことを研究室の全員の前で急に発表(もちろん英語で)させられるなど、「マジすか!?」っていう展開もありましたが、2週間弱、本当にお世話になりましたm(__)m



今となっては懐かしいIPBの校舎
ハニカム構造?なので、どこからみても同じ景色。
おかげで毎日迷子になっていました(T_T)

さて、世界川エビ紀行18回までは、知らず知らず「スンダランド」での採集活動を紹介していきましたが、次回からはついに別の生物地理区分での活動となります。
そして、これからの活動が私の旅の真の目的となりますので、これからもこの稚拙な紀行を楽しんでいただけますと幸いです。

生き物屋の皆様、今後とも何卒よろしくお願いいたしますm(__)m

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