ショキタテナガエビ Macrobrachium shokitai

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ショキタテナガエビ Macorbrachium shokitai
十脚目>抱卵亜目>コエビ下目>テナガエビ科>テナガエビ

西表島にのみ生息する日本固有種である。
また、日本で唯一の大卵少産型テナガエビ類であり、レッドデータおきなわでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。

和名・学名は、日本の淡水エビ研究の権威、諸喜田茂充先生に献名されたものである。
余談だが、諸喜田先生の著書;「淡水産エビ類の生活史-エビの川登り-」に本種の発見に関する項があり、非常に面白いので機会があればぜひ一読してほしい。

本種は、台湾などに生息しているタイリクテナガエビM.asperulum と近縁であり、2種を同時に飼育すると容易に交雑するという。
しかし、誕生した交雑個体が生殖能力を持たないことやアロザイム分析などから明らかに別種であることがわかっている。ちなみに、本種とタイリクテナガエビ額角歯数や第2胸脚の違いなどで区別できるらしい。

そもそも本種やタイリクテナガエビの祖先は、テナガエビミナミテナガエビの祖先から種分化しており、このときに小卵多産型から大卵少産型への移行があったとされる。
また、本種とタイリクテナガエビの分化は西表島が大陸からの分裂によるものであるとされている。

このような歴史からもわかるように、本種の形態はテナガエビと類似しており、日本からの記録がある南西諸島に生息するテナガエビ類としては形態的にシンプルである。
ただし、体長は60㎜程度とやや小型である。

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額角歯式は、2+7-10/1-3 となっている。
額角の形状は、比較的幅広い木の葉型であるが、ある河川の個体群は写真のように比較的先端部が上方を向くことが多いと感じる。

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筆者の浅い経験上、他の水域では先端部が上方を向く個体を見たことがないため、ある河川とその他水域の個体群では遺伝的な差異があるのでは?と感じている。(勝手な憶測です。根拠は一切ありません)

ただし、テナガエビ類の額角の形状は成長過程によって変化することが多いため、これらの違いは成体と未成体の違いという可能性も考えられる。

体色に関しては、幼体は薄い褐色で、成長するにつれて体色が濃くなっていく傾向がある。基本的には茶褐色であることが多いが、大型の雄では最初の写真のようにかなり濃くなる場合がある。
また、1~2%の割合で白化個体がいるというが、筆者は見たことがない。

筆者の推測であるが、イリオモテヌマエビのような大卵少産型のコエビ類には一定の割合で白化個体が見られるため、陸封種の場合、近親交配などの影響で色彩変異個体が誕生しやすいのかもしれない。

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ある河川で採集された個体

上述した通り、額角の先端部が上方を向いている。
言及していなかったが、頭胸甲側面に斜横線が入るのも本種の特徴らしい。
(正直なところ、多くのテナガエビ類が頭胸甲側面に斜横線を有する)

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西表島で採集された個体

上述した通り、額角は上方を向かない木の葉型である。
赤褐色の鉗脚が美しいが、大型雄の鉗脚は黒色であることが多い。

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ショキタテナガノエラヤドリに寄生された個体

言及していなかったが、本種にはショキタテナガノエラヤドリ Probopyrus iriomotensis というエビヤドリムシ類がつくことがある。
この等脚類に寄生によって、成長の遅れや繁殖力の低下などが懸念されている。

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ショキタテナガノエラヤドリに寄生された個体

寄生されているが、それなりに成長していた個体。
宿主に対応してエビヤドリムシも大きくなっていることがわかる。
ショキタテナガノエラヤドリは、名前からショキタテナガエビを特異的に宿主としていると思うかもしれないが、過去にミナミテナガエビを宿主としている例が報告されている。
ちなみに、この寄生虫はエビノコバンとは異なり、頭胸甲の内側に張り付いているため、簡単にはがすことができない。

 

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参考文献一覧
・豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.
・豊田幸詞, 関慎太郎, 2014. ネイチャーウォッチングガイドブック 日本の淡水性エビ・カニ 日本淡水性・汽水性甲殻類102種. 誠文堂新光社, 東京. 
・諸喜田茂充, 2019. 淡水産エビ類の生活史-エビの川のぼり- Life History of Freshwater Shrimps. 諸喜田茂充出版記念会, 東京.

・斉藤暢宏, 2011. 寄生性甲殻類の1新種, ショキタテナガノエラヤドリについて~アマチュア研究者新種記載顛末記~. Cancer 20: 39-41.
・諸喜田茂充, 成瀬貫. ショキタテナガエビ. 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版(動物編) —レッドデータおきなわ—. Pp. 314, 沖縄県環 境部自然保護課, 那覇市.