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エビ好き大学生による淡水エビ布教ブログ

オオテナガエビ Macrobrachium grandimanus

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オオテナガエビ Macrobrachium grandimanus
十脚目>抱卵亜目>コエビ下目>テナガエビ科>テナガエビ

種子島以南の南西諸島に生息しているテナガエビ属の1種。
和名から多くの人が大型のテナガエビと思うかもしれないが、実際はテナガエビM.nipponenseよりも一回り小さく体長は60㎜程度である。

和名の由来は、雄の大鉗脚がシオマネキのように大型になる点であると推測される。
この鉗脚の掌部には剛毛が密生するが、何に使われているのかはわからない。

大鉗脚のはさみの咬合面には明瞭な2つの棘と、細かい鋸歯が均等に整列している。

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雄の小鉗脚の可動指および不動指は非常に細く、咬合面側に湾曲する。
成体になると咬合面を中心に剛毛が疎生する。

生息域は河川の下流域で、経験上、海水の影響を強く受けるような環境で多く見られるように感じる。
見た目の強烈さからレアなテナガエビと感じるかもしれないが、多くの水域で個体数は少なくなく、むしろ普通種である。

 

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額角歯数は 3-4+9-11/3-4 である。
額角歯式が類似しているヒラアシテナガエビとの区別は、額角の形状が有効である。
本種は、比較的細いヤリ状の額角であるため、比較的幅の広いヒラアシテナガエビと区別することができる。

2001年に、台湾から形態的に酷似している近縁種, M.shaoi が記録されている
このことに関して、台湾の図鑑に掲載されているオオテナガエビ(のような種)にはM.shaoi が充てられており、M.grandimanus は掲載されていないことから、台湾に生息しているオオテナガエビ類はすべてM.shaoi に該当すると推測される。
ちなみに、M.grandimanus1840年ハワイ諸島で採集された標本もとに記載されているが、琉球の個体群はハワイの個体群よりも上縁歯数が少ないと報告されている。

余談だが、額角上縁歯数や生息域、大鉗脚が大型化するという点でヒラアシテナガエビと類似しているが、系統的にはかなり離れているという。

 

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沖縄島で採集された雄

かなり大型な個体で、大鉗脚が体長よりも大きくなっている。
腹節背面には白色の独特な模様があり、美しい。
色彩も美しく形態的にもインパクトがあるテナガエビ類であるが、個人的に知名度が低いと感じる。

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沖縄島で採集された雄の個体

大鉗脚指節は地色と黒色のまだら模様になっており、掌部は赤褐色の2本線がでる。
紹介し忘れたが、本種の腹節側面にはマガタマテナガエビのように赤色の1本線が入るのが特徴となっている。(マガタマよりも不明瞭であることが多いように感じる)

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沖縄島で採集された雄の個体

ここまで大きい個体は極めて稀である。
頭胸甲側面に3本の斜横線が入るのが特徴だが、鉗脚が大きすぎて見えない...

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沖縄島で採集された抱卵個体

雌の個体としてはかなり鉗脚が大きい個体。
多くの熱帯性テナガエビ類と同様に、卵の色は緑色である。また、雄の個体とは異なり、腹節腹側の卵を覆っている部分には模様が出ており、卵を保護する点で何らかの利点があるのかもしれない。

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沖縄島で採集された幼体

この大きさの個体は、頭胸甲側面の斜横線鉗脚の節に見られる黄斑などからミナミテナガエビの幼体と酷似していると感じる。
識別法としては、以下の3つがあげられる。
1.頭胸甲側面の3本の斜横線のうち、中央の線が他の線と並行ではなく「 / \ / 」のような模様になる点
2.腹節側面に赤褐色の1本線が出る点
3.額角が細長く、上方に大きく湾曲する点

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沖縄島で採集された本種と思われる幼体

この大きさだと同定が難しいが、頭胸甲側面の3本の斜横線の形状や額角の雰囲気からオオテナガエビと考えられる。
内地での本種の無効分散の報告が現時点でないのは、幼体の同定の難しさが1つの要因となっているのかもしれない。

 

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参考文献一覧
・豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.
・吉郷英範, 2002. 日本のテナガエビ属(甲殻類:十脚類:テナガエビ科). 比婆科学 206: 1-17.
・周名泰, 高瑞卿, 張瑞宗, 廖竣, 2020. 台灣淡水及河口魚蝦圖鑑. 台灣自然圖鑑 048. 晨星出版社.
・諸喜田茂充, 2019. 淡水産エビ類の生活史-エビの川のぼり- Life History of Freshwater Shrimps. 諸喜田茂充出版記念会, 東京.
・Liu, M. Y., Cai. & Tzeng, C.-S., 2007. Molecular systematics of the freshwater prawn genus Macrobrachium Bate, 1868(Crustcea: Decapoda: Palaemonidae) inferred from mtDNA sequences, with emphasis on east Asian species. Zoological Studies, 46: 272-289.