Crazy Shrimp

エビ好き大学生による淡水エビ布教ブログ

【備忘録】水辺の生き物の写真の撮り方


こんにちは、ebina です🦐

突然ですが、川や海で採集した生き物の写真を綺麗に撮りたいけど、
「ストロボ」とか「画像編集」とかよくわからないですよね~(;^ω^)

ということで、今回はebina 自己流の、
現地で簡単に白・黒バック写真を撮影する方法を紹介します。


これらは、これから紹介する方法で撮影した写真たちですが、完璧な真白・真黒の背景にはできません
あくまでも、そこそこの写真が撮れるだけですので、ご了承ください。

※無断転載禁止です。

撮影の注意点

水辺の生き物の撮影を始める前に、留意すべき点を紹介します。

背景の写り込みに関しては、
雑魚の水辺 様こちらのページ
採集bot (@Minamiakahire) 様こちらのツイート
を参考にさせていただきました。

生き物の写真をインターネット上に公開するうえでの注意点が記述されているので、ぜひ読んでください(__)

背景の写り込み



撮影した生き物写真をSNSやネット上に投稿する場合、背景の写り込みに注意する必要があります。
理由は、写真をもとに採集地を特定する輩がいるからです。

実は、ネットで生息地を検索する人は多く(何を隠そう、筆者も検索してます)、一度知られた生息地は界隈の中で共有され、いつしか高い採取圧に晒る可能性が高いです。
その結果、採取圧で希少種が激減したり、訪れる人が増えることによって環境破壊につながったり、近隣住民や漁協に迷惑をかけたり、なんてことに...。

要するに、基本的に採集地は公開してはいけないので、写真をネットに公開する際は、写り込みに細心の注意を払う必要があります。

さて、具体的に気を付けるべき点ですが、先ほどの2枚の写真*で解説します。


丸く囲った個所は、特定につながるポイントです。
一見普通に撮影してしまいそうな写真ですが、こんなにもたくさんの特定のヒントがあります。
特に、稜線や建物が写ると100%特定されると思ってください。

  • 稜線
  • 建物
  • 看板・標識
  • 特徴的な橋・護岸
  • 電柱・鉄塔
  • 非常に珍しい植物
とりあえず、このようなものが写っている場合は特定される可能性(大)なので、編集など配慮する必要があります。

また、同じ場所で撮影した生き物をいくつか投稿する場合、生物相自体が特定のヒントとなることがあります。
そのため、同じ場所の生き物を一度に投稿するのはリスクが高く、また、背景に共通のものが写っている場合、間接的に特定のヒントとなることも考慮すべきです。

※画像は白樺湖の風景に、全く別の場所で採集した生物をいれた合成写真です(筆者は白樺湖で採集したことはありません)

背景色の選択

先に説明した通り、背景に稜線や建物などが映りこむと、採集地が特定されてしまうリスクがあります
そのため、今回は採集地で黒・白バックで撮影する方法を紹介しますが、
各背景色には良し悪しがあります


例えば、こちらは同じツノナガヌマエビを撮影したものです。
黒い背景では、白っぽい斑などが浮き出て見えるので、白背景とは変わった雰囲気に見えます。
また、淡水エビのような透明な体色の生き物は背景色が透けて見えるので、
背景によって体色の見え方が変わってしまうことを知っておくと良いです。

また、白バック撮影では逆光により、生物本来の色彩が撮影できない場合があります。


こちらは、同じネッタイテナガエビを撮影したものですが、白バックでは逆光により青色が黒ずんで見えます。
逆に、このような濃色の生物を黒バックで撮影すると背景と同化してしまうことが多いです。
そのため、撮影する生物に合わせて背景色を選択するのが重要です。

ただし、風景が写りこんだ状態で撮影する際は、上述の注意点を考慮した撮影(編集)する必要があります。

必要なもの

今回の撮影方法に必要なものはこちらです。

それぞれについて、軽く説明します。

デジタルカメラ

筆者は、OLYMPUS TOUGH TG-6というコンパクトデジタルカメラを使っています。
詳細はリンク先のページを見てください。

個人的に良いと感じているのは、顕微鏡モード(接写)防水性能(15m防水)です。
また、TOUGHの名の通り、ちょっと落としたくらいじゃ壊れないので、フィールドで使うのに最適です。

5万円前後と、ハードルが高いですが、生き物採集する人は必携だと思います。


ヌマエビの額角。1cm未満の額角上縁の鋸歯もきれいに撮れる。


観察ケース

筆者は、主にマメチ・プロダクションふぉっとっと® スタンダードを使っています。
HOGAアクリル製ミニ水槽も使用しますが、高価なケースですので、外では使わないです(笑)

そもそも観察ケースは、長期使用するとアクリルが傷んでくるので、基本的に消耗品です
その割に2500円くらいと高いので、100均のケースで代用するのも良いと思います。


白バット

筆者は、100均(セ〇ア)の重ねられるタイプの料理用のものを使っています。

バットは撮影だけでなく、採集した生物を一時的に入れておくのにも使えるので、いくつか持っていると便利です。


白・黒シート


これは、100均(セ〇ア)のランチョンマット(or まな板)をはさみでカットしたものです。

観察ケース下の床や背景に使うので、汚れても洗えるプラスチック製が便利です。
黒バック撮影でよく用いられるハイミロン暗幕は埃がつきやすく、現地で使うには不便です。


ハンドライト

筆者は、自転車用ライト CATEYEvolt400のを使っています。

実際に必要な機能は、床に垂直における点明るさ(400lm程度)です。
この自転車用ライトは、長期点灯でも明るさが一定なので非常に優秀です。

しかし、値段が高い(定価: 9900円)ので、サイクリングをしない人はもっと安いものを買うのをお勧めします(笑)


プラスチックケース


これは、いわゆるディフューザーとして使うものです。

写真のように、ハンドライトの光をプラケースに通して当てると、全体的に明るくなるので、より自然に撮影することができます。
特に、黒バック撮影は、これが無いときれいに撮影できません。

筆者は、COREMANのルアーケースを使ってます。
光がぼかせるものなら何でも良いのですが、COREMANの青い文字に光を当てると、ライトの黄色っぽさが相殺されていい感じになる(?)ので、愛用しています(笑)


きれいな水

川の水は意外と濁っていて、そのまま使うとゴミが映ってしまうことが多いです。

筆者は、1日汲み置いた水道水をペットボトルに入れて持っていきます。
また、濾紙で環境水をろ過して使ってるという人もいます。


あとは、撮影ケースの水滴を拭くためのペーパータオルと、生体の向きを調節するためのスティックがあると便利です(^o^)

今回紹介したものは、デジタルカメラと水を除くと、A4サイズのファスナー付きファイルにまとめることができるので、コンパクトに収納できます。

撮影手順


それでは、採集してきたスジエビを実際に撮影していきます(^o^)
今回は室内での撮影ですが、この撮影法は平らな場所があれば実践できます。
ただし、直射日光があたる場所ではうまく撮影できないこともあります。

白バック撮影

まずは白シートを置き、その上にきれいな水と被写体を入れた観察ケースを置きます。


撮影ケースについた水滴は入念に拭きましょう

余談ですが、採集地の水温と撮影用の水の温度の差が大きいと、ストレスで体色が変わってしまうことが多いので注意が必要です。



次に、観察ケースの後ろに白バットを置き、水を入れたペットボトルなどの重りで白バットがずれ落ちないようにします。



背景をセットしたら、スティックを使って被写体の向きを調節します。
なかなか言うことを聞いてくれませんが、根気強く調節していきます。

じっとしてくれない場合は、放置や換水をすると落ち着くことがあります
無理に刺激すると、生き物が弱ってしまうので注意


エビの向きについてですが、真横よりもやや頭が手前になるように調節すると、顔にピントが合いやすく、キュートに撮影できます!



調節できたら、観察ケースの上にプラスチックケースを置き、その上にライトを置いてケース内を照らします。

残念ながら、光が苦手な生き物や振動に敏感な生き物は、ライトをセットしたときに動いてしまうことが多いです。
動いてしまったら、また調教し直しです( ;∀;)
仕方がないですが、我々は撮影させていただいている身なので、生き物に感謝の意を表して撮影に試みましょう!
(調教とか言うなし。)


向きの調節が完了したら、すぐに撮影します💦


白バック撮影の場合、露出(?)を少し高めに設定すると(+0.3~+1.0)、いい感じに撮影できます
TG-6の設定は、顕微鏡モードのデフォルトです。
一番鮮明に見たい場所にフォーカスを合わせて、撮影します。



今回撮影できたのがこちら。
額角を見やすいように撮影しているので、尾部が不明瞭になっていますが、頭胸部はくっきり撮影できてると思います。


現地で撮影する場合は日光でデジカメの画面が見づらい場合があるので、いくつかの露出補正で撮影しておくと安心です。

黒バック撮影

続いて、黒バックでの撮影方法です。

といっても、白バック撮影との違いは、
撮影ケースの下の白シートと背景の白バットを黒シートに替えるだけ👍

ただし黒バックの場合、背景の黒シートと観察ケースの背面をできるだけ密着させる必要があるので、ちょっと面倒に感じます。


白バック撮影と同様に、向きを整えてから撮影します。


露出補正は白バックとは反対に、かなり低くして撮影します(-1.3~-2.0)



今回撮影できたのがこちら。
背景左側に少し光が映りこんでしまいましたが、全体的に黒い背景で撮影することができました。
筆者の技術の問題なのか、白よりも少しぼやけることが多いです。


エビの白濁り

本来、スジエビの体色は透明なのですが、上写真では筋肉が白濁しています。
筆者は、これを「エビの白濁り」と呼んでおり、特にスジエビヌマエビのような透明なエビで目立ってしまいます。

↑ 通常のミゾレヌマエビ(上)と白濁りした個体(下)

主な原因は、水温差や物理的な刺激などのストレスで、河川の水温と気温や撮影用水の温度との差が大きいと発生しやすいです。
また、向きを調節する際に、エビが嫌がって暴れて白濁りするということも多いです。
さらに厄介なことに、白濁りした個体は短時間ではもとに戻らないため、一度濁ってしまうと、本来の体色を撮影するのは困難になります。

白濁り対策は、ストレスを与えないことが一番ですが、濁ってしまった場合、黒よりも白バックで目立ちにくいので、背景でごまかすのも手段の一つです。

ダメな写真の例

ここでは、筆者が撮影しがちな「ダメな写真」の例を紹介します。
参考までにどうぞ~(´・ω・`)


水滴を拭くという単純な作業ですが、撮影には必要不可欠です。
これをサボるのは、背景云々以前の問題ですね(´∀`)



向きの調節は非常に面倒ですが、撮影に最も重要な作業です。
ここで妥協するとダメな写真認定、間違いなしですorz




白・黒どっちで撮影しても、いい感じに撮影できることもあります。
ただし、状況によって左右されるのでライトありが無難です。




プラケースがないだけで、こんなにダメな写真になります。
ディフューザーを忘れた場合は、バットに光を当てて反射光で撮影させると割ときれいに撮影することができます(白バックのみで有効)。




白バックや黒バックを交互にやってると、戻すのを忘れることもあります。
とりあえず、露出補正を間違えると100%ダメな写真になるので注意です!



観察ケースに大きな傷があると、特に黒バックで目立ちます。
光の当て方やエビの向きなどが完璧でも、傷1つでダメな写真になってしまうので、ケースは傷つけないように丁寧に扱います。

まとめ

今回は、筆者が行っている水辺の生き物の撮影方法を紹介しました~

何度も申した通り、今回の方法では完全な白・黒背景の写真を撮影することはできません
しかし、生き物に麻酔をかけず、高額な撮影機材を用いず、生き物を捕まえたその場で白・黒背景の写真を撮ることができます。
これは、私たちにとっても楽である以上に、採集した生き物に輸送や麻酔などの負荷をかけることなく 撮影&リリースすることができるのがメリットだと思っています。

生き物採集は、好きな生き物と触れ合えると同時に、少なからず好きな生物たちを傷つけてしまう行為でもあります。
私たちの好きな生き物をずっと見続けるためにも、採集・観察による影響を最小限に抑えようという気持ちが大切です

生き物の撮影は、じっとしてくれず嫌になることも多いです。
しかし、生き物の目線で考えると、敵の前に晒されながら狭いケースに収容されて、嫌な思いをしているかもしれません。

私たちは、生き物がいるからこそ採集や撮影ができるということを忘れずに撮影に臨むと、見方が変わると思います。
もし撮影中にどうしても止まってくれないときは、「撮影NG」って言われたと思い、諦めてリリースするのも大切な選択だと思います。

生き物に対して自身ができる限りの配慮をしたうえで撮影した一枚こそ、素晴らしい生き物の写真になると信じています。

Crazy Shrimpホームに戻る