Crazy Shrimp

Crazy Shrimp is not as crazy as it sounds, but sometimes lazily and sometimes intensively, collects, researches and observes not just Japanese freshwater shrimps and prawns, but also saltwater shrimps, fish and many other aquatic creatures.

リュウグウヒメエビ Caridina laoagensis

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リュウグウヒメエビ Caridina laoagensis
十脚目>抱卵亜目>コエビ下目>ヌマエビ科>ヒメヌマエビ属

南西諸島に生息している熱帯性のヌマエビ類。近年の研究で、無効分散と思われる個体が関東でも確認されている。

和名は非常にユニークであるが、見た目はトゲナシヌマエビと瓜二つで地味である。ただ、額角上縁に鋸歯が並ぶので、ルーペ等で観察すれば識別が可能である。

本種は、河川中・下流域の流れの速い環境に生息し、同じような流域に生息するヒメヌマエビやミゾレヌマエビとは異なる環境を好む。

 

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(左:雌の成体、右:雄の未成体)
額角歯式は 0+10-22/2-6 であり、頭胸甲上に鋸歯を持たない。
本種に類似しているオオバヌマエビも頭胸甲上に鋸歯を持たない個体が発見されており、歯式のみでの同定は難しい。
しかし、オオバヌマエビの鋸歯は本種のものより圧倒的に大きいため、識別は容易である。
余談だが、オオバヌマエビの継代飼育を行っている方に幼体の額角を観察させていただいたところ、鋸歯が小さく、リュウグウヒメエビとの区別が全くできなかった。そのため、幼体の同定は第5胸脚指節の観察も行ったほうが良いかもしれない。

 

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また、腹節背面の模様がトゲナシヌマエビと少し異なることが多い。
写真は双方ともリュウグウヒメエビであり、腹節背面の横縞は正中線と垂直である。
トゲナシヌマエビの斜めに入る横縞はあまり見られない。

しかし筆者の経験上、南西諸島では正中線と垂直な横縞を持つトゲナシヌマエビも少なくなく、この特徴のみで同定するのはお勧めしない。
結局のところ、色彩だけでなく形態も合わせて同定することが重要である。

 

近年の研究によると、琉球列島にはリュウグウヒメエビと近縁な種が複数種いるとされているが、今回扱うのはリュウグウヒメエビCaridina laoagensis1種である。

 

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東海地方産(雌)

正中線に金色の1本線が入るのも本種の特徴らしい。
また、腹節背面の正中線と垂直になる横縞も明瞭である
この固体は比較的赤みが強く、トゲナシヌマエビとの区別がしやすい。

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石垣島産(雌)

体全体に雪の結晶のような斑があり、非常に美しい。
腹節の横縞である程度同定することが可能である。

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関東産の個体(雄)

採集してから数日経過していることもあるが、雄のほうが色が薄いことが多く、同定が難しい印象である。
少なくとも、このような個体は額角上縁の鋸歯を確認しないと同定することができない。

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西表島産(雌)

紹介するのを忘れていたが、頭胸甲側面の「~」を逆にしたような模様は、Caridina laoagensis最大の特徴らしい。
ただし、この模様は生時にしか見られないことに加え、不明瞭であることが多い。

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沖縄島産(雌)

色彩的に上の西表島産の個体と類似している。
ただし、こちらの個体は頭胸甲側面の「~」模様が白色である。

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沖縄島産(雌)同行者採集

上の個体と同所的に採集された個体。
本種は他のヌマエビ類と比べても抱卵している確率が高いように感じる。
筆者の飼育経験上、トゲナシヌマエビやヤマトヌマエビと異なり、放幼後もすぐに抱卵することが多い。

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沖縄島産(雌)同行者採集

上の個体らと同所的に採集された個体だが、珍しく緑褐色であった。
経験上、本種の色彩は採集環境や地域ごとの特徴はないように感じる。

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沖縄島産(雌)

胸脚が欠落している個体。
写真整理していて気付いたが、尾扇後端が白色になっているため、オオバヌマエビと誤同定しないようにも気を付けたい。
そのため、慣れないうちは額角の形状で同定するのがよい。

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与那国島

頭胸甲側面の「~」模様と腹節背面の横縞が明瞭で、正中線に黄色の縦線が入るため、非常にわかりやすい個体である。
ただし、このような薄い地色に緑褐色の斑が出る個体は初めて見た。

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東海地方産(雌)

成熟した雌は、その他ヌマエビ類と同様に濃い体色になる傾向があるようだ。
腹節背面の正中線上の黄色線と垂直に交わる横線が明瞭である。
経験則だが、雌の個体は腹節背面の模様で同定できることが多いように感じる。

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東海地方産(雌)

上の個体と同所的に採集された個体だが、全体的に赤褐色で腹節背面の模様が不明瞭である。よく見ると頭胸甲側面の「~」を反対にした模様が確認できる。

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東海地方産(雄)

腹節背面の模様は確認できないが、正中線上の黄色の線が明瞭であり、頭胸甲側面の「~」のような模様も不明瞭ながら確認できる。
このような色彩は水槽等に入れると落ちてしまうことが多く、なかなか見ることができない。


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参考文献一覧

・豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.
・丸山智朗, 2017. 神奈川県および伊豆半島の河川から採集された注目すべき熱帯性コエビ類5種. 神奈川自然史資料 (38): 29 - 35.
・丸山智朗, 福家悠介, 2018. オオバヌマエビの沖縄島からの初記録. Fauna Ryukyuana, 43: 11-17.