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エビ好き大学生による淡水エビ布教ブログ

【全17種類】日本のテナガエビ図鑑

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おはようございます、ebina です🦐

今回は、日本のテナガエビ全17種類
筆者の独断による採集しやすさ順に紹介します!

ただし、ほとんどは沖縄に生息するテナガエビですので、ご了承ください。

 

 

沖縄島以外に生息するテナガエビを追加しました。
また、解説など大幅に更新しました。

(2021年6月28日)

 

日本のテナガエビの多くは、レッドリストに記載されています。
採集は節度を守ってやりましょう。乱獲は絶対ダメです。

 

採集難易度 ★

ここで紹介する5種は、比較的簡単に採集することができます。
前者3種は内地でも普通に見られる種です。
残り2種は内地ではあまり見られませんが、南西諸島では普通種です。
(属名のMは、Macrobrachiumの略です)


テナガエビ

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  • 学名:M.nipponense
  • 体長:最大9cm
  • 分布:本州・四国・九州
  • 生息環境:河川・湖の緩流部など
  • 特徴:頭胸甲側面の歪な3本線
  • 類似種:
    ミナミテナガエビ

都市部の河川でも普通に見ることができる。
南西諸島には生息していない。
テナガエビ釣りで釣れるのは本種が多い。


ミナミテナガエビ

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福島県福井県以南で広く見られる種。
八重山においても個体数は少なくない。
色んなテナガエビと似ているので注意。


ヒラテテナガエビ

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  • 学名:M.japonicum
  • 体長:9cm程度
  • 分布:本州~南西諸島
  • 生息環境:河川中・上流域など
  • 特徴:頭胸甲側面の縦縞・網目模様
  • 類似種
    ネッタイテナガエビ

石川県・福島県以南で記録されている。
沖縄本島では個体数が多いが
八重山では比較的稀である
南西諸島の個体と内地の個体では、色彩の雰囲気が違うように感じる。


コンジンテナガエビ

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  • 学名:M.lar
  • 体長:最大15cm
  • 分布:南西諸島(稀に内地)
  • 生息環境:河川全域など
  • 特徴:上縁歯数が少ない、デカい
  • 類似種
    ショキタテナガエビ(幼体)

日本最大のテナガエビ
無効分散(一部水域を除く)と思われる個体が本州や九州で記録されている。
南西諸島では、多くの場所で優占してる。


ザラテテナガエビ

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コンジンテナガと同様に、内地からの記録がある。
この採集難易度の種の内、1番採集が難しい。
ナンヨウテナガエビと酷似しており、筆者も両種を識別法を理解していない。

 

 

採集難易度 ★★

ここで紹介する2種は、上の種と比べて採集が難しいです。
前者は、場所によっては優占していることがありますが、
後者の方が生息数が少なく、採集難易度が高い印象です。


オオテナガエビ

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片方のはさみが肥大化し、かっこいい。
感潮域の中でも、海水の影響を強く受ける環境の方が個体数が多い印象である。
生息地では個体数は少なくないが、大型個体は少ない。
ちなみに、名前の割に体長は小さい。


ネッタイテナガエビ

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色彩的に美しい小型のテナガエビ類。
類似種が多いため、誤同定に注意。
環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に分類されている

 

 

採集難易度 ★★★

ここから紹介する種は、採集難易度が一気に上がります。
ここに記述した4種は、生息地が限られている、もしくは個体数が少ない種で、本格的に探さないと採集するのは難しいです。


コツノテナガエビ

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  • 学名:M.latimanus
  • 体長:9cm程度
  • 分布:南西諸島(稀に本州・九州)
  • 生息環境:河川最上流域など
  • 特徴:腹節に縞模様、上縁歯数が少ない
  • 類似種
    チュラテナガエビ

河川最上流域に生息するテナガエビ
生息環境ゆえに、採集は非常に難しい。
生息地では優占していることもある。
本州太平洋沿岸や鹿児島県でも記録されている。

 


ツブテナガエビ

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  • 学名:M.gracilirostre
  • 体長:最大10cm
  • 分布:口永良部島以南の南西諸島
  • 生息環境:河川中・上流域の急流部
  • 特徴:赤と緑の縦縞模様
  • 類似種
    ネッタイテナガエビ

国内最美麗のテナガエビ
南西諸島に生息する種の中では大型種。
沖縄県レッドリストで準絶滅危惧に分類されている


スベスベテナガエビ

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マングローブに生息するテナガエビ
筆者は一部の水域を除き、まとまった数を採集したことがない。
大型個体は筆者も見たことがなく、極めて稀である。
沖縄県レッドリストで準絶滅危惧に分類されている


ショキタテナガエビ

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西表島固有種のテナガエビ
日本で唯一の大卵少産型の生活史を持つ。
写真2枚目のように、
ショキタテナガノエラヤドリという寄生虫がついていることがある。
環境省レッドリスト準絶滅危惧
沖縄版レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類に分類されている。

 

 

採集難易度 ★★★★

ここで紹介する4種は、生息地・生息数ともに少なく、採集は難しいです。
また、すべてが沖縄県RDBに掲載されており、乱獲は厳禁である。
特に後者2種は、極少数の水域を除くと、全くと言っていいほど見ることができない。


カスリテナガエビ

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ネッタイテナガエビ種群に属する小型種。
石垣島では、比較的観察しやすいが、
その他地域では、滅多に見ることがない。
沖縄県レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に分類されている


チュラテナガエビ

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国内で最も小さいテナガエビ
未記載種であるため、詳細な情報が少ない。
沖縄県レッドリストで情報不足に分類されており、
個体数は極めて少ないと記述されている。


マガタマテナガエビ

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写真は未成体だが、成体は大鉗脚が勾玉のような形状に肥大化する非常にかっこいいテナガエビ
2018年に分類学的問題が解消され、和名が提唱された。
現状、沖縄島の北部4河川と西表島の1河川でのみ記録されている。
また、個体数も少なく、極めて稀。
沖縄県レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に分類されている


ヒラアシテナガエビ

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大鉗脚が肥大化し、非常にかっこいい。
筆者もほとんど見たことがない。
環境省レッドリストで準絶滅危惧、
沖縄県レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類
に分類されている。

 

 

採集難易度 ★★★★★

ここで紹介する2種は、
上記の種とは、採集難易度が桁違いで、
両種とも、採集は不可能に近いかもしれません。
申し訳ないですが、筆者も採集したことがないので、文のみでの紹介とさせていただきます。


ウリガーテナガエビ

  • 学名:M.miyakoense
  • 体長:6cm
  • 分布:宮古島石垣島、沖縄島
  • 生息環境:アンキアライン(地下水系)
  • 特徴:目が退化している
  • 類似種
    国内に類似種はいない

宮古島で採集された標本に基づき、2005年に記載された種
宮古島以外の記録は、石垣島で1個体、沖縄島でゾエアが確認されたのみ。
地下水系に生息しているため、現実的に採集が難しい。
(南西諸島において、地下水系などは文化財に指定されたり、神聖な場所として見なされたりしている。そのような場所で調査する場合は、採取許諾はもちろんのこと、地域住民の了承を得る必要がある。)
環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類
沖縄県レッドリスト絶滅危惧1B類に分類されている。

 

原記載URLhttp://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.655.9137&rep=rep1&type=pdf


ナンヨウテナガエビ

沖縄島で1個体記録されているのみ
また、ザラテテナガエビと酷似しており
成体雄でないと外部形態からの識別ができない。
要するに、採集は難しい。

再記載URLhttps://europeanjournaloftaxonomy.eu/index.php/ejt/article/view/413

 

 

まとめ

以上が、現在日本から記録されている17種のテナガエビでした。
おそらく、皆さんがイメージしていたテナガエビとは違った印象の種も多かったのではないでしょうか?

現在は17種だけですが、研究が進むにつれて、これから新種・初記録のテナガエビが発見されていくでしょう
この記事を読んで、テナガエビに少しでも興味が沸いたのであれば、ぜひテナガエビの採集にチャレンジしてみてください

生き物屋の皆さん、これからもよろしくお願いいたしますm(__)m

 

▼過去の記事一覧はこちら▼

 

▼もっと知りたい方はこちら▼

 

(2022年2月5日更新)

 

ー参考文献ー
  • 藤田喜久, 2017. チュラテナガエビ(仮称). 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版(動物編) —レッドデータおきなわ—. Pp. 348-349, 沖縄県環 境部自然保護課, 那覇市.
  • 藤田喜久, 2017. ウリガーテナガエビ. 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅の恐れのある野生生物 第3版(動物編)ー レッドデータおきなわ ー. Pp. 303, 沖縄県環境部自然保護課, 那覇市.
  • 花井元哉, 2021. マガタマテナガエビ八重山列島西表島からの初記録. Cancer 30: e1-e3.
  • H Suzuki, N Tanigawa, T Nagatomo, E Tsuda, 1993. Distribution of freshwater caridean shrimps and prawns (Atydae and Palaemonidae) from Southern Kyushu and adjacent islands, Kagoshima Prefecture, Japan. Crustacean Research 22; 55-64.
  • Magalie CASTELIN, Valentin de MAZANCOURT, Gérard MARQUET, Gabrielle ZIMMERMAN & Philippe KEITH, 2017. Genetic and morphological evidence for cryptic species in Macrobrachium australe and resurrection of M. ustulatum (Crustacea, Palaemonidae). European Journal of Taxonomy 289; 1-27.
  • 丸山智朗, 2017. 越前・能登佐渡の河川で採集されたコエビ類. Cancer 26: 35-42.
  • 丸山智朗, 2017. 神奈川県および伊豆半島の河川から採集された注目すべき熱帯性コエビ類5種. 神奈川自然史資料 (38): 29 - 35.
  • 丸山智朗, 2018. 相模湾および周辺海域流入河川において2016年8月以降に採集された熱帯性コエビ類5種の記録. 神奈川自然史資料 (39): 31-38.
  • 丸山智朗, 藤田喜久, 2018. ウリガーテナガエビ石垣島からの初記録. Fauna Ryukyuana, 46: 5-9.
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  • 佐伯智史・前田健・成瀬貫, 2018. 琉球列島産ネッタイテナガエビ種群3種 (甲殻亜門: 十脚目: コエビ下目: テナガエビ科)の分類と形態. Fauna Ryukyuana 44: 33–53.
  • 佐伯智史, 2017. ヒラアシテナガエビ. 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅の恐れのある野生生物 第3版(動物編)ー レッドデータおきなわ ー. Pp. 312-313, 沖縄県環境部自然保護課, 那覇市.
  • 佐伯智史, 2017. マガタマテナガエビ. 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅の恐れのある野生生物 第3版(動物編)ー レッドデータおきなわ ー. Pp. 313, 沖縄県環境部自然保護課, 那覇市.
  • 佐伯智史, 2017. カスリテナガエビ. 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版(動物編) —レッドデータおきなわ—. Pp. 313-314, 沖縄県環 境部自然保護課, 那覇市.
  • 佐伯智史, 2017. ツブテナガエビ. 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版(動物編) —レッドデータおきなわ—. Pp. 328, 沖縄県環 境部自然保護課, 那覇市.
  • 佐伯智史, 藤田喜久, 2017. スベスベテナガエビ. 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版(動物編) —レッドデータおきなわ—. Pp. 328, 沖縄県環 境部自然保護課, 那覇市.
  • 讃岐斉, 渡邊卓実, 大富潤, 駒井智幸, 2019. 鹿児島県口永良部島から得られたネッタイテナガエビ Macrobrachium placidulum(十脚目: コエビ下目: テナガエビ科)の北限記録, 日本生物地理学会会報(74): 100-106.
  • 諸喜田茂充, 成瀬貫. ショキタテナガエビ. 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版(動物編) —レッドデータおきなわ—. Pp. 314, 沖縄県環 境部自然保護課, 那覇市.
  • 諸喜田茂充, 2019. 淡水産エビ類の生活史-エビの川のぼり- Life History of Freshwater Shrimps. 諸喜田茂充出版記念会, 東京.
  • 豊田幸詞, 関慎太郎, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.
  • T Komai, Y Fujita, 2005. A new stygiobiont species of Macrobrachium (Crustacea: Decapoda: Caridea: Palaemonidae) from an anchialine cave on Miyako Island, Ryukyu Islands. Zootaxa 1021: 13-27.
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  • 吉郷英範, 2002. 日本のテナガエビ属(甲殻類:十脚類:テナガエビ科). 比婆科学 206: 1-17.