Crazy Shrimp

エビ好き大学生による淡水エビ布教ブログ

ひとりで八重山行ってきた件 弐 マングローブ採集で初採集ラッシュ!!

おはようございます、ebina です🦐

前回に引き続き、八重山遠征報告の第2弾をやっていきます(^o^)
予告通り、今回はマングローブで採集された生物をピックアップしていきます!

▼前回の記事はこちら▼

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スネナガエビ Palaemon debilis

マングローブに無限に沸いてるスジエビの仲間ですね。
イッテンコテナガエビとは、額角下の色で区別できます
(普通に、雰囲気が全然違うのでわかります)

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ミゾレヌマエビ Caridina leucosticta

マングローブで採集したので、奴だと思ったんですが...
いや、明らかに違ったのでみじんも思ってませんね(笑)

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スベスベテナガエビ Macrobrachium equidens

久しぶりに淡水エビ同定に苦戦しました...(;'∀')
決め手は額角下縁に5歯という点と第3~5胸脚の指節長でした。
誤同定じゃなければ、ebina 初採集テナガエビ13種目となります !

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ヒメシオマネキ Gelasimus vocans

干潟にたくさんいたシオマネキです。
オキナワハクセンもいたのですが、写真取れませんでした...
訂正:シモフリシオマネキ

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ツムギハゼ Yongeichthys nebulosus

かの有名なフグ毒(TTX)を持つハゼです。
そのためか、全然動き回らず写真は撮りやすかった!

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クロホシマンジュウダイ(幼魚) Scatophagus argus

汽水魚の定番って感じなんでしょうね。(思い込み)
言葉では言い表せない。あえて言うならかわいい。

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ゴマフエダイ(幼魚)? Lutjanus argentimaculatus

ぱっと見での同定なので、あってる自信はないっす。
背びれの赤い感じとか、目元の瑠璃とかきれいですね✨

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タネハゼ Callogobius tanegasimae

最初見たときは、ミミズハゼの進化系かと思いました(無知の極み)
各鰭が大きくてなかなか見ごたえがあるハゼですね。

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カワヨウジ Hippichthys spicifer

この手の魚はめったに採集できないので、なかなか嬉しい(^o^)
全然知識ないけど、ヨウジウオも採集頑張ってみようかしら。

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ヤエヤマノコギリハゼ Butis amboinensis

いつか採集してみたいと思ってたのですが、案外にあっさりと。
ぺちゃんこな頭がスーパーぷりちー♡

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ジャノメハゼ Bostrychus sinensis

ぱっと見、ナマズかと思うくらい鼻先の突起が大きい( ゚Д゚)
いかにも、獰猛な見た目でそそられますねー!!

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フタバオサガニ

干潟で採れましたよくわからないカニ。はさみの先が紫でキレイ。

 

淡水エビ要素少なめでしたが、マングローブ域採集の報告は以上です(/・ω・)/
普段採集できないような生物がいっぱいで最高でした。またやります!

次回はいよいよメイントピック!八重山の清流採集記事です!

次の回はこちらから

生き物屋の皆さんならびに淡水エビ好きの皆さん、
今後ともどうぞよろしくお願いしますm(__)m

▼これまでの記事一覧はこちらから▼

ebina-1.hatenablog.com

 

 

ヤマトヌマエビ Caridina multidentata

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ヤマトヌマエビ Caridina multidentata  Stimpson, 1860
十脚目>抱卵亜目>コエビ下目>ヌマエビ科>ヒメヌマエビ属

茨城県鳥取県から南西諸島まで広く分布しているヒメヌマエビ属の1種。
観賞魚店などでコケ取り用のヌマエビとして売られていることも多い。
最大で体長55㎜を超える大型なヌマエビで、小型のテナガエビよりも大きくなる。

水槽にいるものしか見たことがない人は知らないかもしれないが、河川上流域に生息していることが多い。
そのため、遡上力はすさまじく10m程度の砂防ダムや堰であれば、難なく乗り越える。

上述したように、河川上流域の清流を好むエビであるため、自然下で観察すること機会は少ないが、トゲナシヌマエビヒメヌマエビとは異なり、冬の関東圏でも普通に観察することができる
実際、筆者が12月に本種を確認したときの水温は9℃であったため、低水温に対する耐性は他のヌマエビ類よりも秀ででいると思われる。

しかし現在では、本種の北限は太平洋側と日本海側ともに、トゲナシヌマエビヒメヌマエビよりも南側である。

 

筆者の経験上、河川上流域の清流を好むため採集するのは難しいが、場所によっては優占していることが多い。
しかし、八重山列島では本種が生息している環境は少なく、採集が非常に難しいと感じる。

種小名の「multidentata」は、「たくさんの鋸歯を持つ」という意味。

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額角歯式は 0+13-30/3-18 と、名前の通り多くて数えるのが大変である。
(上の写真は和歌山県産の個体)

体色に関して、地色は半透明や緑色、赤色など多少の変異が見られるが、体側に平行な4本の点線が見られるのが本種の最大の特徴である。
雄の場合、この模様は明瞭な点線であるが、雌は鎖のような模様になる。
ただし、雄でも最上部の線は鎖状に見えることもあるので注意したい。

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また、尾肢には青色と白色の模様が出るのも本種の特徴である。
個人的な経験であるが、この模様は産地によって多少変異があるように感じる。
ちなみに、上写真は左が石垣島産で右が沖縄島産である。

 

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関東で採集された個体

本種の最大の特徴は、体側に並行する4本の点線である。

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関東で採集された雌の個体

雄と同様に4本の線が並ぶが、点というより線に近い模様である。

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近畿地方で採集された個体

写真では少しわかりづらいかもしれないが、尾肢表面に青い丸模様や白い斑がみえる。
ただ、この美しい色の模様は色が抜けやすいように感じる。

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八重山列島で採集された雄の個体

上述したように、本島~関東で普通にみられる本種であるが、八重山列島ではめったに見ることができないヒラテテナガエビでもこのような傾向があるため、分散パターンが似ているのかもしれない。

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八重山列島で採集された抱卵個体

上記で雌の体側の模様は鎖状になるとしているが、この個体の2列目と4列目は雄のような点線であった。このように、模様での性別判定は曖昧になることがあるので注意が必要である。

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奄美群島で採集された雌の個体

奄美群島の河川上流域で見られた個体。
この水域では写真のような大型個体が多数確認された。

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奄美群島で採集された雄の個体

この個体は腹節背面部にも褐色の黒斑が散在しており、非常に美しい。
余談だが、本種は体色が非常に白濁りしやすく、採集した時点で白っぽくなっていることも多い。

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奄美群島で採集された未成体

河川中流域で採集された未成体。
この水域で採集された個体は、体色が青みがかっている個体が多かった。

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奄美群島で採集された未成体

上の個体と同所的に採取された個体。
本種は河川上流域で見られることが多いが、多産地では大型個体ばかりで写真のように中くらいの個体はあまり見ることができない印象である。

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東海地方で採集された幼体

体長2㎝未満の個体であったが、体色がはっきりとしており本種の特徴である体側の模様が鮮明である。全体的に緑色の色素胞があり、非常に美しい個体だ。

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関東で採集された幼体

体長が小さい個体は体側の模様が不明瞭であることが多いので、リュウグウヒメエビ等と誤同定しないように注意したい。
ヤマトヌマエビのほうが体が細長い傾向があるので判別可能。

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関東で採集された幼体の額角
余談ではあるが、関東で採集したリュウグウヒメエビ額角歯式のみで同定するのはお勧めしない。

経験則だが、13㎜未満の個体では額角歯数が成長段階にあり、写真のように本種でありながら上縁歯数が12歯以下という個体を目にすることがある。

ヤマトの稚エビは写真のような額角(細くて長い)であることが多いので、区別は可能である。
ただ、一定期間飼育した方が同定の制度はよいだろう。

 

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参考文献一覧
今井正, 2004. 秋田県鶴潟沼に生息するヌカエビの成長に伴う額角歯の増加. 水産増殖 52(3): 259-264.
・丸山智朗, 2016. 本州日本海側における両側回遊性コエビ類の分布について. Cancer 25: 55-60.
・諸喜田茂充, 2019. 淡水産エビ類の生活史-エビの川のぼり- Life History of Freshwater Shrimps. 諸喜田茂充出版記念会, 東京.
・豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.

採集日記 2020-10月号

おっす、めーす!! ebina で~す🦐
(最初の挨拶、考えるのに毎回10分以上かけてます。許してください。

いやぁ~、最近ブログ書くのさぼってたら、12月になってました( ;∀;)

そろそろこのブログも公開を考えていたところなんですけどねぇ。。

さて、今回は10月の採集日記を書いて行くのですが、、今年の10月は淡水エビ採集のベテランの方に採集に連れて行ってもらった結果!!
なんと!!! めちゃめちゃすごいのいっぱい採れた!!!
けど、全然写真撮ってなかったぁぁぁぁ。という状況に陥りました( ;∀;)

まぁそれなりに写真はあるので、紹介していきます。

 ▼先月号はこちら▼

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コンジンテナガエビ Macrobrachium lar

いや、熱帯性コエビ類とは??ってレベルで採集できました。
正直、ebina の中のコンジンテナガエビの株価が暴落しました(笑)
その中でもひときわ大きかったのがこの固体です。

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ザラテテナガエビ M.australe

ザラテも採集することができました!!
幼体ならではの長く伸長するヤリ状額角が、ebina の心に突き刺さりました。。

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コツノテナガエビ M.latimanus

はい。マジで関東にいましたこのエビ(笑)
本当に沖縄でもそんな採集できないのが、関東にいるんですよぉぉ。。。
個人的に、一番レアな死滅回遊エビだと思っていたので喜びが半端ないっす。

つまり、この10月で現時点で報告されている死滅回遊性のテナガエビ類をすべて採集することができたんです°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

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リュウグウヒメエビ Caridina laoagensis

これも関東初採集でした。(8月の個体は誤同定です)
トゲナシヌマエビとは全く違う、レアなオーラが漂ってます。
特に、正中線に金色のラインが入るというのがかっこいい!!

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ヒメヌマエビ類 Caridina serratirostris

関東の川にこんな真っ赤なヌマエビが生息しているのが想像できますか?
これが在来種なんですよ!! 日本の川も捨てたもんじゃないですね!!
一応、コテラ説があるのでヒメヌマエビとは断定していません。

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オニヌマエビ Atyopsis spinipes

今回は全部が全部レア種すぎるので、感覚がマヒしているかもしれませんが
普通はこんなエビは採れませんよ(笑)
まさか、初心者のebina がこんなレアなヌマエビを採集することができるとは思いませんでした。

たった6枚の写真しか掲載していませんが、ebina の記事史上最も豪華な記事かもしれませんw
なんて言ったって、ここに掲載しているエビはヒメヌマエビを除いて、すべて熱帯性コエビ類ですので、この時期にしか狙えない激レア種なんです。

本当は、これ以外にも、熱帯性のカワアナゴ類とかオオヒライソガニ類、ヤマトヌマエビといったすごい生物を採集することができましたが、撮影していなかったのでまた来年期待していてください!!

生き物屋の皆様、今後ともどうぞよろしくお願いします。

 

◀先月号はこちら 来月号はこちら▶

 

▼これまでの記事一覧はこちら▼ebina-1.hatenablog.com

 

 

ひとりで八重山行ってきた件 壱

こんにちはー、Crazy Shrimp 管理人のebinaです🦐

今回は、八重山諸島に採集遠征に行ってきたのでその報告をします!

と。その前に、タイトルの説明をしていきます(笑)
ひとりで八重山行ってきた件って... 別に普通やろって思うかもしれませんが。
実は、ebina 1人で飛行機に乗ったことなかった。ていうか、ひとりで遠出したことなかったんですよΣ(゚Д゚)

もともとこの遠征は、友達と一緒に行く予定だったのですが、まさかのキャンセルで急遽ひとり旅になってしまったんですね。
しかも、ebina 運転免許を取ってから9日しか経過してないのに、ひとりでレンタカーするという。採集でヘトヘトになった状態で運転し続けるというなんとも無謀な企画でした。
おまけに強力な熱帯低気圧に襲われたり、スマホを水没させたりと様々なハプニングに見舞われ、散々な遠征でしたね(笑)

はい。

前置きが長いと面倒な奴って思われるかもしれないので
とっとと報告に入っていきますよー°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

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コンジンテナガエビ Macrobrachium lar

まぁ、南に行ったらこいつが一番最初に採れますよね(笑)
どこにでもいる、キングオブ普通種って感じです(`・ω・´)
何がすごいって、デカいだけじゃなくて遡上力も強いところよ。
歌って踊れるアイドル的な何かを感じるね(意味不)

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トゲナシヌマエビ Caridina typus

こちらは、ヌマエビ界のキングオブ普通種ってところでしょうか。
別にたくさんいるのはいいんだけど、オオバとかリュウグウとぱっと見同じってところが許せないんだよーorz
まぁ、こいつが学名的にタイプ種だから文句言えないけど。。

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オニヌマエビ Atyopsis spinipes

こいつも八重山じゃ常連の顔ぶれですね。ただ、デカい
2枚目がデカすぎて、1枚目がちっさく見えるという(笑)
体長60㎜近いって、もはやテナガエビ級のサイズ。ひゅーじ。

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ヒラテテナガエビ Macrobrachium japonicum

本州だと普通種だけど、八重山だと実はレア種だったりする。
ネッタイテナガエビのほうがよっぽど多い気がします(笑)

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ネッタイテナガエビ Macrobrachium placidulum

本島じゃあまり見られない、いい感じの色彩のテナガエビ
ただし八重山では、もはや普通種ですね。

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オオクチユゴイ Kuhlia rupestris

たまに手違いで網に入ってくるデカい魚( ゚Д゚)
フライにして食べたら絶対うまいでしょ(笑)

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クロヨシノボリ(多分) Rhinogobius brunneus

写真撮るまでシマヨシだと思ってたやつ。関東だと激レアだけど、こっちだとめっちゃたくさんいてビビる(;゚Д゚)

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ヤエヤマイシガメ Mauremys mutica kami

休憩中、近くにいたので撮影しました。
小っちゃくてぷりちーなカメですな♡


とりあえず、壱はこのあたりでストップしておきます。
初回ということもあり、普通種多めで申し訳ありません。

次回は、ebina 初の本格的なマングローブ採集をピックアップします!
淡水エビは、、。さておき、普段見れない生物が採集できたので乞うご期待!

生き物屋の皆さん、淡水エビ好きの皆さん
今後ともどうぞよろしくお願いしますm(__)m

次の回はこちら

 

▼これまでの記事はこちらから▼

ebina-1.hatenablog.com

 

採集日記 2020-9月号

おはようございます、ebina です🦐

いやぁ、暑かった夏もあっという間に終わっちまいましたね(笑)
しかーし!!関東圏のエビ採集の夏は始まったばかりですね!!
今月は休みの日が多かったこともあり、たくさんの採集に行けたので
早速、報告に入っていきますよー(≧▽≦)

▼先月号はこちらから▼

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カワヨシノボリ Rhinogobius flumineus

先月採集のものと違い、ちゃんと上流まで行って採集してきました!
この水域は小型個体ばっかりだったのですが、1枚目の個体は巨大でしたね( ゚Д゚)

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ヒナハゼ Redigobius bikolanus

河川中流域で採集してたら見たことない魚が採れて興奮しましたが
下流に移動したら無限に採集できてちょっと落ち込みました。。
何はともあれ、初採集の魚なので嬉しいです(^o^)

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テングヨウジ Oostethus brachyurus brachyurus

さりげなーく関東で初採集のヨウジウオ類。
沖縄で何度か見てるけど、採れるとテンション上がりますね!
ebina が使ってる観察ケースには到底入りそうにもなかったので、日陰の地面において撮影させていただきました。ごめんね!

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根鰓亜目の1種 (ウシエビとか?)

すみません。エビ好きとか言ってますけど、根鰓亜目全くわかりません...
河川で採集できるから汽水性エビ図鑑に載ってればいいんだけどね。

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テナガエビ Macrobrachium nipponense

そーいえば、ちゃんと写真撮ってなかったな。と思ったので撮影しておきました。
ちゃんと観察してみると額角とかかっこいいと思いません?

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ミナミテナガエビ Macrobrachium formosense

上と同じ理由で、ちゃんと撮影してみました。
(あれれー? 額角とかブレてないっすか?)

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ヒラテテナガエビ Macrobrachium japonicum

このサイズのオスってなぜかあまり採れないんですよね。。
第3腹節背面の黒い横線がはっきりしてて若々しいね。

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Macrobrachium sp. (同定できませんでした)

額角歯式からコンジンコツノなのですが、当時のebina はコンジンと同定しました。
ただ後々見てみると、腹節背面に横線が入ってるように見えなくもない。。。
よし、もう一回同定するか!といって水槽内を見たら、どこにもいなかった( ゚Д゚)

つまり、コツノかもしれないエビが1日で行方不明になって発狂したってことです。
これからは1回1回の同定を集中してやっていきたいところですね...

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トゲナシヌマエビ Caridina typus

実は関東の河川では初採集のエビなんですよね。。
なんかいないところには全くいない、いるところには無限にいるって感じでした。

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カワリヌマエビ属の1種 Neocaridina sp.

いやぁぁぁぁ。。。。(;゚Д゚)
ついに採れちゃったかぁって感じです。一応この河川でも少数ながら記録はあったので覚悟はしていたのですが、かなり衝撃を受けました。。
在来ヌマエビ類(特にヌカエビ)に嫌な影響が出ないことを祈るしかありません。

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白いミゾレヌマエビ Caridina leucosticta

先月に引き続き、また1個体のみ採集できました。
気になる点はありますが、おそらくミゾレの色変でしょう。

 

ここからは、友人に連れられて行ってきた川素潜り!?の写真です。
ダイブしてる最中はテンションがハイになりすぎて気づかなかったのですが、撮影した写真はどれもブレブレでした( ;∀;)
ここに載せるのも恥ずかしいですが、一応楽しかった夏の思い出として貼っときます。

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イトモロコ Squalidus gracilis gracilis

コイ科魚類マジでわからないです。友人に同定していただきました。

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スジエビ タイプA Palaemon paucidens

とりあえず大きすぎて、遭遇したときに圧倒されます!
陸上だとスジエビなのに、水中だとスジエビなんですよね(迷言)

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ムギツク Pungtungia herzi

日淡なのに熱帯魚でいそうな感じ、このサイズはやっぱりかわいい!!
え、ぼやけてるって?目を細めてみたらいい感じですよー(^o^)

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アメリカザリガニ Procambarus clarkii

アメザリに興奮したのは小学校以来でしょうか。
潜ればわかります。水中だとまじでロブスターに見えます。

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ウキゴリ Gymnogobius urotaenia

今回のダイブで一番衝撃を受けました。
出会った瞬間、カワアナゴ類を彷彿させるような巨体に目が離せませんでした。

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ヒガシシマドジョウ Cobitis sp. BIWAE type C

素潜りの良いところは、生物のありのままの姿を見れるところですよね。
こんなかわいいドジョウが\コンニチハ/って顔出してたら誰だって惚れます。

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ヌマエビ類 Atydae spp.

なんていうか、普段採集しているエビがどんな生活を送っているかをのぞかせていただきましたって感じです。
沈水植物や落ち葉、テトラポッドの側面などありとあらゆる場所をエビたちが活用しているのを見て感動しました。

あまりの感動に興奮しちゃって、写真がぶれちゃいましたー(棒)

 

てなわけで、今月号はこのあたりで終了しておきたいと思いまーす。

実は、今回載せられるような写真が無かったので報告しませんでしたが
ヤマトヌマエビコンジンテナガエビの稚エビなどなかなか珍しいエビも採集することができました

さすが死滅回遊の秋って感じですね。

こんな季節ももうそろそろ終わりが近づいてきましたが、最後の最後までレアなエビを求めて採集を続けていくので今後ともどうぞよろしくお願いします!!

 

◀先月号はこちら 来月号はこちら▶

 

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ネッタイテナガエビ Macrobrachium placidulum

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ネッタイテナガエビ Macrobrachium placidulum  (De Man, 1892)
十脚目>抱卵亜目>コエビ下目>テナガエビ科>テナガエビ

口永良部島以南の南西諸島に生息するテナガエビ属の1種。
環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に分類されているが、筆者の経験上、同著で準絶滅危惧に指定されているツブテナガエビよりも生息河川および個体数がはるかに多いため、絶滅の懸念は低いと考えられる。
現状から推測すると、昔よりも個体数が増えていると考えられるが、原因は不明である

体長は55㎜程度と比較的小型なテナガエビ類である。
生息環境は、河川中流域の早瀬であり、カスリテナガエビマガタマテナガエビツブテナガエビオオバヌマエビなど多くの早瀬を好むコエビ類と同所的に採集されることが多い。
また、個体数が多いためか、これらの種よりも生息流程が広い印象である。

 

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額角歯式は 5-7+4-6/2-3 で、額角は細い。
また、額角先端は第1触角柄先端に届かないという。
 

本種はネッタイテナガエビ種群に含まれ、同種群にはカスリテナガエビマガタマテナガエビが含まれている。
これらの種は形態や色彩が酷似しており、慣れないと同定が難しいと感じるかもしれない。
ただし、佐伯ら(2018)にも記述されているように、生時の色彩から区別することができる

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(上から ネッタイ、カスリマガタマ)

本種の体色は、赤色や赤褐色の個体が多いが、茶褐色や暗青色の個体も見られるため色彩変異に富むと考えられるが、頭胸甲側面に赤褐色の3本の縦縞見られるほか、第3腹節背面に白色の横帯が見られるなどの特徴がある。
しかし、この2つの特徴はマガタマテナガエビと共通しており、本種群の同定が難しいとされる要因となっている。
ちなみに本種とマガタマテナガエビの識別は、腹節側面に赤褐色の1本の縦線があるか否かで区別することができる。(本種は、線を持たない)

 

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沖縄島で採集された雄の個体

この体色が最も一般的。赤茶の体色で腹節背面に白い横縞が入り、頭胸甲側面にも複数の縦縞が入る。
頭胸甲背面には、丸い白斑が見られることが多いが、持たない個体もいる。

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石垣島で採集された雄の個体

上の個体と同様に腹節背面の色彩が非常に美しい。
雄の個体では、第3腹節背面の白色横帯が腹節下部に到達することは多くないが、この個体では達している。

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石垣島で採集された雄の個体

上の個体とは違い、腹節の白色帯の数が少ない。
マガタマテナガエビとは体側に1本の赤い線が無いという点、カスリテナガエビとは頭胸甲側面の模様で識別できる。

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石垣島で採集された雄の個体

体色が緑褐色で、マガタマテナガエビのような個体。
しかし、腹節側面に暗褐色の1本の縦線がないため、本種と同定することができる。
要するに、色彩的特徴は同定に有効であるが、体色それ自体は当てにならないことが多い。

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石垣島で採集された雄の個体(同行者採集)

観察ケースに収まっていないほど立派な個体。
このような大型個体はほとんど見ることができない。
写真には写っていないが、小鉗脚はさみ咬合縁には、剛毛が密生していた。

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石垣島で採集された個体

個人的に色彩的特徴がわかりやすい個体だと感じる。
第3腹節背面後部に白色帯が入り、その後端は黒く縁どられる。
頭胸甲側面に暗褐色の複数本の縦縞が入る。

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石垣島で採集された個体

地色がかなり赤いが、決して茹でたわけではない。
琉球列島の一部の島では個体数が多いが、チュラテナガエビのような本種よりも個体数が少ない種が多数記録されているような島でも一切記録がないこともあり、島ごとの個体数の差が大きいと感じる
もちろん、このような話は他の種にも当てはまるが、非常に興味深い。

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石垣島で採集された抱卵個体

地色が暗色で、第3腹節背面の白色帯がやや複雑な形をしている個体。
赤系や褐色系の個体が圧倒的に多いが、このような変わった色の個体も稀に見かける。

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石垣島で採集された個体

腹節の白色帯や斑が、複雑でチュラテナガエビを彷彿させる体色。
本種は、体色だけでなく、模様のバリエーションも豊富であるように感じる。

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沖縄島で採集された個体(同行者採集)

上の個体とは異なり、暗青色で非常に美しい個体。
この色彩の個体は滅多に見ることがないが、同所的に採集された個体も青みが強かったことから、体色は環境によって左右されると推測される。

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石垣島で採集された雌の個体

若干色が濃い個体。カスリテナガエビと酷似しているが、頭胸甲側面に絣模様がないため、本種と同定できる。

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石垣島で採集された抱卵個体

撮影が長引き、色が薄まってきた個体。このような個体はヒラテテナガエビのような体色になるので、鉗脚が欠落していると同定に悩むことがある。
抱いている卵は多くのテナガエビ類と同様に緑色である。

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沖縄島で採集された未成体

経験上、沖縄島ではこのような小型個体をよく目にする。
本種はヒラテテナガエビと異なり、頭胸甲側面の縦縞の色が赤っぽいことが多い。

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沖縄島で採集された個体(同行者採集)

赤と青のグラデーションのようになっている個体。
非常に美しいが、頭胸甲側面の模様などから本種と同定される。

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西表島で採集された幼体

体長15㎜未満の個体であるが、色彩ははっきりとしており容易に同定することができる。幼体を同定する際には、色彩が最も有効であるため色落ちする前に撮影するのが良い。

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沖縄島産の未成体

ケースを忘れたため水中で撮影した個体。
頭胸甲後部に緑色の卵巣が見えるため、おそらく雌の個体。
この大きさでも抱卵できると推測される。

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石垣島で採集された雌の個体

色が薄い雌の個体はヒラテテナガエビとの区別が凄まじく難しい。
有識者の方に同定していただいた結果、第3腹節の横縞が腹側まで伸長している点から本種であるらしい。

筆者が独自に調査を行った結果、眼窩後縁から最も後ろの鋸歯の基部までの長さ / 頭胸甲長の値を用いてある程度の同定は可能であるという結論に至った。
まだサンプル数が少ないのでズレがあるが、ネッタイテナガエビは0.45程度、ヒラテテナガエビは0.38程度という結果が得られている。

こちらに関しては筆者がネタ半分で研究を進めているので、ちゃんとした結果がわかり次第、こちらのブログでも紹介する予定です。

 

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参考文献一覧

・豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.
・佐伯智史・前田健・成瀬貫, 2018. 琉球列島産ネッタイテナガエビ種群3種 (甲殻亜門: 十脚目: コエビ下目: テナガエビ科)の分類と形態. Fauna Ryukyuana 44: 33–53.
・佐伯智史, 2017. カスリテナガエビ. 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅の恐れのある野生生物 第3版(動物編)ー レッドデータおきなわ ー. Pp. 313, 沖縄県環境部自然保護課, 那覇市.
・讃岐斉, 渡邊卓実, 大富潤, 駒井智幸, 2019. 鹿児島県口永良部島から得られたネッタイテナガエビ Macrobrachium placidulum(十脚目: コエビ下目: テナガエビ科)の北限記録, 日本生物地理学会会報(74): 100-106.

 

チュラテナガエビ Macrobrachium sp.

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チュラテナガエビ Macrobrachium sp.
十脚目>抱卵亜目>コエビ下目>テナガエビ科>テナガエビ

日本に生息する未記載テナガエビ2種のうちの1匹(もう1種はカスリテナガエビ
体長約40mm程度とおそらく日本産既知のテナガエビ類の中では最小
未記載種であるという点からもわかるが、依然として分類学的地位が定まっておらず、レッドデータおきなわでは情報不足のカテゴリーに分類されているほか、個体数は極めて少ないと言及されている。

現在のところ、宮古島石垣島西表島から記録されている。
しかし、宮古島の生息地では大規模な工事によって環境が変わり、現在は生息が確認されていないという。

生息環境は、河川中上流域の早瀬環境で、経験上、ネッタイテナガエビよりも上流域で採集されることが多い。

体色や形態的にはコツノテナガエビの未成体と似ているように感じる(下写真)。
双方ともに腹節のに暗色の横縞が複数入るが、コツノテナガエビの方が直線的で細い。

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左からコツノテナガエビ、チュラテナガエビ

ちなみに、放幼においてもコツノテナガエビと類似している。
筆者の自宅で飼育している抱卵を観察したところ、コツノテナガエビやオニヌマエビ類と同様に、強いエアレーションを呈した飼育槽内であっても放卵(放幼)せずに、発眼後長期にわたって抱卵し続けた。(発眼卵をスポイトで採取しエアレーションをかけたところ、1時間以内にほとんどの卵が孵化した)
このことから本種はコツノテナガエビなどと同様に、強い流れのある環境でしか放幼しないことが推測される。
また、ゾエア幼生の至適塩濃度は28‰前後で、筆者の飼育では着底まで至らなかったが、少なくとも2か月以上の浮遊期間を有することがわかった。
(おそらく腹肢が形成されていた点から第9~11ゾエア期程度までは達していた)

 

経験上、成熟した雄は黒が強くなる傾向があるように感じる。
第2胸脚は黒い指節に対して掌部は白くなることが多い。

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額角の形状はネッタイテナガエビ種群のものより幅が広く、木の葉型に近い。
また、額角歯式は3+6-9/3とされているが、筆者は写真のように頭胸甲上に4歯持つ個体を確認しているため、実際はもう少し変異の幅が広いと考えられる。

鉗脚に関しては、成長段階や性別によって形態が大きく異なることが多い。
成体の雄の個体は掌部が大きくなり、ヒラテテナガエビのような形状になる。
加えて、鉗脚は左右対称である場合と非対称である場合がある点ヒラテテナガエビと類似している。

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上の写真は脱皮殻であるが、雄の第2胸脚不動指には明瞭な1つの棘があり、可動指はそれとかみ合うように小さな2つの棘の間に窪みがある。
また、鉗脚の掌部や可動指には小棘が密生する。
上述したように、鉗脚の指節は黒色になるが、この色は脱皮殻においても維持されることから、本種を同定するうえでの同定形質になり得ると感じる。

 

余談だが、台湾などで記録されている M.horstii と酷似している
個人的な憶測だが、筆者は台湾産の M.horstiiとチュラテナガエビは同種で、真のM.horstiiは形態的に異なる別種ではないかと思っている。
このあたりの分類に詳しい方は、コメントでご教授いただけると幸いです。

 

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八重山列島で採集された雌の個体

頭胸甲内に緑色の卵巣が発達しているのが見える。
具体的な同定形質を紹介していなかったが、少なくとも筆者は頭胸甲側面後方の1本の明瞭な曲線の確認を重要視している。
ただ、色彩的に類似する種がいない(せいぜいコツノテナガエビの幼体)ため、同定に苦労することは無いと感じる。

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八重山列島で採集された雄の個体

体長35mm程度の成熟した雄の固体。上の雌と比べると黒っぽい
あまり目立たない体色に、金色の斑が見られ、上品な美しさを持つ。
また、この固体も頭胸甲上に鋸歯が4歯あるように見える。

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八重山列島で採集された雄の個体

上方から見てみると、大鉗脚掌部がかなり大きいことがわかる。
小鉗脚は再生の途中のように見える。
撮影が長引き若干色が落ちているが、掌部はもっと明確に白いことが多い。

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八重山列島で採集された抱卵個体

約30mm程度の個体だが、立派な個体と言っていいだろう。
この個体は、地色の濃い茶色と白い斑や横帯とのコントラストが絶妙である。
下の個体と比べてみるとわかりやすいが、本種の雌の第3腹節背面後部には、腹節腹側まで続く黒帯が出るようだ。
また、黒帯を前縁にでる白帯は、非常に複雑な形状であるが、下の個体と類似しており、このような模様になりやすいのかもしれない。

余談だが、この個体は撮影中に放幼を始めてしまったため、撮影後、慌ててリリースをした。実際、写真には本種のゾエア幼生が映っている。

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八重山列島で採集された雌の個体

この個体のような金色が際立つ美しい個体は、なかなか見ない。
さらに、地色が青く、まさに「チュラ=美ら」という感じだ。
これに関しては、和名を提唱した方のセンスに脱帽である。


八重山列島で採集された雌の個体

いかにも本種らしい色彩を有する個体である。
この個体は雌にしては大型な個体であるが、オスと比べてはさみ脚の指節長が長い印象である。

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八重山列島で採集された抱卵個体

上の個体よりも地味であるが、このような体色の個体が多い。
発眼前の卵は、多くのテナガエビ類と同じく緑色である。
撮影中には気づかなかったが、この個体の額角上縁には15歯があり、既知のものとは大きく外れている。
この個体が、本当に本種かは知り得ないが、本種の形態学的知見の蓄積が望まれる

 

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八重山列島で採集された雌の個体(同行者採集)

おそらく、このような体色がベーシックなものである。
腹節の横縞や頭胸甲側面の斜横線は暗褐色であることが多く、鉗脚掌部は黒い指節と対照的な白色を呈する


八重山列島で採集された個体

このサイズでも十分成体であると考えられる。
おそらく本個体は雄であるが、このサイズでもハサミの形態は雌雄で異なっているように感じた。

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八重山列島で採集された幼体

幼体に関しては、特に情報が少なく同定に自信が持てない。
筆者は、上の個体らと同様に腹節に茶褐色の横帯がある点、頭胸甲側面に斜横線がある点、鉗脚掌部が白色(透明)である点などから本種と同定した。
成体とは異なり、はさみの先端は黒くならないようだ。

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八重山列島で採集された幼体

上の個体以上に色彩が薄い幼体。
幼体の鉗脚指節は透明で、可動指と掌節の継ぎ目に茶褐色斑を有するようだ。

 

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参考文献一覧
・豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.
・林春吉, 2007. 台灣淡水魚蝦生態大圖鑑(下). 天下遠見出版.
・藤田喜久, 2017. チュラテナガエビ(仮称). 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版(動物編) —レッドデータおきなわ—. Pp. 348-349, 沖縄県環 境部自然保護課, 那覇市.
・諸喜田茂充, 2019. 淡水産エビ類の生活史-エビの川のぼり- Life History of Freshwater Shrimps. 諸喜田茂充出版記念会, 東京.
伊藤茜, 藤田喜久, 諸喜田茂充, 2005. コツノテナガエビ Macrobrachium latimanus(Von Martens, 1868)の卵発生と孵化. Cancer 14: p5-8.