Crazy Shrimp

エビ好き大学生による淡水エビ布教ブログ

採集日記 2020-10月号

おっす、めーす!! ebina で~す🦐
(最初の挨拶、考えるのに毎回10分以上かけてます。許してください。

いやぁ~、最近ブログ書くのさぼってたら、12月になってました( ;∀;)

そろそろこのブログも公開を考えていたところなんですけどねぇ。。

さて、今回は10月の採集日記を書いて行くのですが、、今年の10月は淡水エビ採集のベテランの方に採集に連れて行ってもらった結果!!
なんと!!! めちゃめちゃすごいのいっぱい採れた!!!
けど、全然写真撮ってなかったぁぁぁぁ。という状況に陥りました( ;∀;)

まぁそれなりに写真はあるので、紹介していきます。

 ▼先月号はこちら▼

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コンジンテナガエビ Macrobrachium lar

いや、熱帯性コエビ類とは??ってレベルで採集できました。
正直、ebina の中のコンジンテナガエビの株価が暴落しました(笑)
その中でもひときわ大きかったのがこの固体です。

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ザラテテナガエビ M.australe

ザラテも採集することができました!!
幼体ならではの長く伸長するヤリ状額角が、ebina の心に突き刺さりました。。

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コツノテナガエビ M.latimanus

はい。マジで関東にいましたこのエビ(笑)
本当に沖縄でもそんな採集できないのが、関東にいるんですよぉぉ。。。
個人的に、一番レアな死滅回遊エビだと思っていたので喜びが半端ないっす。

つまり、この10月で現時点で報告されている死滅回遊性のテナガエビ類をすべて採集することができたんです°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

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リュウグウヒメエビ Caridina laoagensis

これも関東初採集でした。(8月の個体は誤同定です)
トゲナシヌマエビとは全く違う、レアなオーラが漂ってます。
特に、正中線に金色のラインが入るというのがかっこいい!!

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ヒメヌマエビ類 Caridina serratirostris

関東の川にこんな真っ赤なヌマエビが生息しているのが想像できますか?
これが在来種なんですよ!! 日本の川も捨てたもんじゃないですね!!
一応、コテラ説があるのでヒメヌマエビとは断定していません。

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オニヌマエビ Atyopsis spinipes

今回は全部が全部レア種すぎるので、感覚がマヒしているかもしれませんが
普通はこんなエビは採れませんよ(笑)
まさか、初心者のebina がこんなレアなヌマエビを採集することができるとは思いませんでした。

たった6枚の写真しか掲載していませんが、ebina の記事史上最も豪華な記事かもしれませんw
なんて言ったって、ここに掲載しているエビはヒメヌマエビを除いて、すべて熱帯性コエビ類ですので、この時期にしか狙えない激レア種なんです。

本当は、これ以外にも、熱帯性のカワアナゴ類とかオオヒライソガニ類、ヤマトヌマエビといったすごい生物を採集することができましたが、撮影していなかったのでまた来年期待していてください!!

生き物屋の皆様、今後ともどうぞよろしくお願いします。

 

◀先月号はこちら 来月号はこちら▶

 

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ひとりで八重山行ってきた件 壱

こんにちはー、Crazy Shrimp 管理人のebinaです🦐

今回は、八重山諸島に採集遠征に行ってきたのでその報告をします!

と。その前に、タイトルの説明をしていきます(笑)
ひとりで八重山行ってきた件って... 別に普通やろって思うかもしれませんが。
実は、ebina 1人で飛行機に乗ったことなかった。ていうか、ひとりで遠出したことなかったんですよΣ(゚Д゚)

もともとこの遠征は、友達と一緒に行く予定だったのですが、まさかのキャンセルで急遽ひとり旅になってしまったんですね。
しかも、ebina 運転免許を取ってから9日しか経過してないのに、ひとりでレンタカーするという。採集でヘトヘトになった状態で運転し続けるというなんとも無謀な企画でした。
おまけに強力な熱帯低気圧に襲われたり、スマホを水没させたりと様々なハプニングに見舞われ、散々な遠征でしたね(笑)

はい。

前置きが長いと面倒な奴って思われるかもしれないので
とっとと報告に入っていきますよー°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

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コンジンテナガエビ Macrobrachium lar

まぁ、南に行ったらこいつが一番最初に採れますよね(笑)
どこにでもいる、キングオブ普通種って感じです(`・ω・´)
何がすごいって、デカいだけじゃなくて遡上力も強いところよ。
歌って踊れるアイドル的な何かを感じるね(意味不)

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トゲナシヌマエビ Caridina typus

こちらは、ヌマエビ界のキングオブ普通種ってところでしょうか。
別にたくさんいるのはいいんだけど、オオバとかリュウグウとぱっと見同じってところが許せないんだよーorz
まぁ、こいつが学名的にタイプ種だから文句言えないけど。。

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オニヌマエビ Atyopsis spinipes

こいつも八重山じゃ常連の顔ぶれですね。ただ、デカい
2枚目がデカすぎて、1枚目がちっさく見えるという(笑)
体長60㎜近いって、もはやテナガエビ級のサイズ。ひゅーじ。

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ヒラテテナガエビ Macrobrachium japonicum

本州だと普通種だけど、八重山だと実はレア種だったりする。
ネッタイテナガエビのほうがよっぽど多い気がします(笑)

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ネッタイテナガエビ Macrobrachium placidulum

本島じゃあまり見られない、いい感じの色彩のテナガエビ
ただし八重山では、もはや普通種ですね。

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オオクチユゴイ Kuhlia rupestris

たまに手違いで網に入ってくるデカい魚( ゚Д゚)
フライにして食べたら絶対うまいでしょ(笑)

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クロヨシノボリ(多分) Rhinogobius brunneus

写真撮るまでシマヨシだと思ってたやつ。関東だと激レアだけど、こっちだとめっちゃたくさんいてビビる(;゚Д゚)

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ヤエヤマイシガメ Mauremys mutica kami

休憩中、近くにいたので撮影しました。
小っちゃくてぷりちーなカメですな♡


とりあえず、壱はこのあたりでストップしておきます。
初回ということもあり、普通種多めで申し訳ありません。

次回は、ebina 初の本格的なマングローブ採集をピックアップします!
淡水エビは、、。さておき、普段見れない生物が採集できたので乞うご期待!

生き物屋の皆さん、淡水エビ好きの皆さん
今後ともどうぞよろしくお願いしますm(__)m

次の回はこちら

 

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ebina-1.hatenablog.com

 

採集日記 2020-9月号

おはようございます、ebina です🦐

いやぁ、暑かった夏もあっという間に終わっちまいましたね(笑)
しかーし!!関東圏のエビ採集の夏は始まったばかりですね!!
今月は休みの日が多かったこともあり、たくさんの採集に行けたので
早速、報告に入っていきますよー(≧▽≦)

▼先月号はこちらから▼

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カワヨシノボリ Rhinogobius flumineus

先月採集のものと違い、ちゃんと上流まで行って採集してきました!
この水域は小型個体ばっかりだったのですが、1枚目の個体は巨大でしたね( ゚Д゚)

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ヒナハゼ Redigobius bikolanus

河川中流域で採集してたら見たことない魚が採れて興奮しましたが
下流に移動したら無限に採集できてちょっと落ち込みました。。
何はともあれ、初採集の魚なので嬉しいです(^o^)

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テングヨウジ Oostethus brachyurus brachyurus

さりげなーく関東で初採集のヨウジウオ類。
沖縄で何度か見てるけど、採れるとテンション上がりますね!
ebina が使ってる観察ケースには到底入りそうにもなかったので、日陰の地面において撮影させていただきました。ごめんね!

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根鰓亜目の1種 (ウシエビとか?)

すみません。エビ好きとか言ってますけど、根鰓亜目全くわかりません...
河川で採集できるから汽水性エビ図鑑に載ってればいいんだけどね。

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テナガエビ Macrobrachium nipponense

そーいえば、ちゃんと写真撮ってなかったな。と思ったので撮影しておきました。
ちゃんと観察してみると額角とかかっこいいと思いません?

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ミナミテナガエビ Macrobrachium formosense

上と同じ理由で、ちゃんと撮影してみました。
(あれれー? 額角とかブレてないっすか?)

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ヒラテテナガエビ Macrobrachium japonicum

このサイズのオスってなぜかあまり採れないんですよね。。
第3腹節背面の黒い横線がはっきりしてて若々しいね。

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Macrobrachium sp. (同定できませんでした)

額角歯式からコンジンコツノなのですが、当時のebina はコンジンと同定しました。
ただ後々見てみると、腹節背面に横線が入ってるように見えなくもない。。。
よし、もう一回同定するか!といって水槽内を見たら、どこにもいなかった( ゚Д゚)

つまり、コツノかもしれないエビが1日で行方不明になって発狂したってことです。
これからは1回1回の同定を集中してやっていきたいところですね...

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トゲナシヌマエビ Caridina typus

実は関東の河川では初採集のエビなんですよね。。
なんかいないところには全くいない、いるところには無限にいるって感じでした。

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カワリヌマエビ属の1種 Neocaridina sp.

いやぁぁぁぁ。。。。(;゚Д゚)
ついに採れちゃったかぁって感じです。一応この河川でも少数ながら記録はあったので覚悟はしていたのですが、かなり衝撃を受けました。。
在来ヌマエビ類(特にヌカエビ)に嫌な影響が出ないことを祈るしかありません。

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白いミゾレヌマエビ Caridina leucosticta

先月に引き続き、また1個体のみ採集できました。
気になる点はありますが、おそらくミゾレの色変でしょう。

 

ここからは、友人に連れられて行ってきた川素潜り!?の写真です。
ダイブしてる最中はテンションがハイになりすぎて気づかなかったのですが、撮影した写真はどれもブレブレでした( ;∀;)
ここに載せるのも恥ずかしいですが、一応楽しかった夏の思い出として貼っときます。

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イトモロコ Squalidus gracilis gracilis

コイ科魚類マジでわからないです。友人に同定していただきました。

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スジエビ タイプA Palaemon paucidens

とりあえず大きすぎて、遭遇したときに圧倒されます!
陸上だとスジエビなのに、水中だとスジエビなんですよね(迷言)

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ムギツク Pungtungia herzi

日淡なのに熱帯魚でいそうな感じ、このサイズはやっぱりかわいい!!
え、ぼやけてるって?目を細めてみたらいい感じですよー(^o^)

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アメリカザリガニ Procambarus clarkii

アメザリに興奮したのは小学校以来でしょうか。
潜ればわかります。水中だとまじでロブスターに見えます。

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ウキゴリ Gymnogobius urotaenia

今回のダイブで一番衝撃を受けました。
出会った瞬間、カワアナゴ類を彷彿させるような巨体に目が離せませんでした。

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ヒガシシマドジョウ Cobitis sp. BIWAE type C

素潜りの良いところは、生物のありのままの姿を見れるところですよね。
こんなかわいいドジョウが\コンニチハ/って顔出してたら誰だって惚れます。

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ヌマエビ類 Atydae spp.

なんていうか、普段採集しているエビがどんな生活を送っているかをのぞかせていただきましたって感じです。
沈水植物や落ち葉、テトラポッドの側面などありとあらゆる場所をエビたちが活用しているのを見て感動しました。

あまりの感動に興奮しちゃって、写真がぶれちゃいましたー(棒)

 

てなわけで、今月号はこのあたりで終了しておきたいと思いまーす。

実は、今回載せられるような写真が無かったので報告しませんでしたが
ヤマトヌマエビコンジンテナガエビの稚エビなどなかなか珍しいエビも採集することができました

さすが死滅回遊の秋って感じですね。

こんな季節ももうそろそろ終わりが近づいてきましたが、最後の最後までレアなエビを求めて採集を続けていくので今後ともどうぞよろしくお願いします!!

 

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ネッタイテナガエビ Macrobrachium placidulum

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ネッタイテナガエビ Macrobrachium placidulum  (De Man, 1892)
十脚目>抱卵亜目>コエビ下目>テナガエビ科>テナガエビ

口永良部島以南の南西諸島に生息するテナガエビ属の1種。
環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に分類されているが、筆者の経験上、同著で準絶滅危惧に指定されているツブテナガエビよりも生息河川および個体数がはるかに多いため、絶滅の懸念は低いと考えられる。
現状から推測すると、昔よりも個体数が増えていると考えられるが、原因は不明である

体長は55㎜程度と比較的小型なテナガエビ類である。
生息環境は、河川中流域の早瀬であり、カスリテナガエビマガタマテナガエビツブテナガエビオオバヌマエビなど多くの早瀬を好むコエビ類と同所的に採集されることが多い。
また、個体数が多いためか、これらの種よりも生息流程が広い印象である。

 

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額角歯式は 5-7+4-6/2-3 で、額角は細い。
また、額角先端は第1触角柄先端に届かないという。
 

本種はネッタイテナガエビ種群に含まれ、同種群にはカスリテナガエビマガタマテナガエビが含まれている。
これらの種は形態や色彩が酷似しており、慣れないと同定が難しいと感じるかもしれない。
ただし、佐伯ら(2018)にも記述されているように、生時の色彩から区別することができる

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(上から ネッタイ、カスリマガタマ)

本種の体色は、赤色や赤褐色の個体が多いが、茶褐色や暗青色の個体も見られるため色彩変異に富むと考えられるが、頭胸甲側面に赤褐色の3本の縦縞見られるほか、第3腹節背面に白色の横帯が見られるなどの特徴がある。
しかし、この2つの特徴はマガタマテナガエビと共通しており、本種群の同定が難しいとされる要因となっている。
ちなみに本種とマガタマテナガエビの識別は、腹節側面に赤褐色の1本の縦線があるか否かで区別することができる。(本種は、線を持たない)

 

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沖縄島で採集された雄の個体

この体色が最も一般的。赤茶の体色で腹節背面に白い横縞が入り、頭胸甲側面にも複数の縦縞が入る。
頭胸甲背面には、丸い白斑が見られることが多いが、持たない個体もいる。

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石垣島で採集された雄の個体

上の個体と同様に腹節背面の色彩が非常に美しい。
雄の個体では、第3腹節背面の白色横帯が腹節下部に到達することは多くないが、この個体では達している。

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石垣島で採集された雄の個体

上の個体とは違い、腹節の白色帯の数が少ない。
マガタマテナガエビとは体側に1本の赤い線が無いという点、カスリテナガエビとは頭胸甲側面の模様で識別できる。

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石垣島で採集された雄の個体

体色が緑褐色で、マガタマテナガエビのような個体。
しかし、腹節側面に暗褐色の1本の縦線がないため、本種と同定することができる。
要するに、色彩的特徴は同定に有効であるが、体色それ自体は当てにならないことが多い。

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石垣島で採集された雄の個体(同行者採集)

観察ケースに収まっていないほど立派な個体。
このような大型個体はほとんど見ることができない。
写真には写っていないが、小鉗脚はさみ咬合縁には、剛毛が密生していた。

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石垣島で採集された個体

個人的に色彩的特徴がわかりやすい個体だと感じる。
第3腹節背面後部に白色帯が入り、その後端は黒く縁どられる。
頭胸甲側面に暗褐色の複数本の縦縞が入る。

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石垣島で採集された個体

地色がかなり赤いが、決して茹でたわけではない。
琉球列島の一部の島では個体数が多いが、チュラテナガエビのような本種よりも個体数が少ない種が多数記録されているような島でも一切記録がないこともあり、島ごとの個体数の差が大きいと感じる
もちろん、このような話は他の種にも当てはまるが、非常に興味深い。

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石垣島で採集された抱卵個体

地色が暗色で、第3腹節背面の白色帯がやや複雑な形をしている個体。
赤系や褐色系の個体が圧倒的に多いが、このような変わった色の個体も稀に見かける。

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石垣島で採集された個体

腹節の白色帯や斑が、複雑でチュラテナガエビを彷彿させる体色。
本種は、体色だけでなく、模様のバリエーションも豊富であるように感じる。

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沖縄島で採集された個体(同行者採集)

上の個体とは異なり、暗青色で非常に美しい個体。
この色彩の個体は滅多に見ることがないが、同所的に採集された個体も青みが強かったことから、体色は環境によって左右されると推測される。

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石垣島で採集された雌の個体

若干色が濃い個体。カスリテナガエビと酷似しているが、頭胸甲側面に絣模様がないため、本種と同定できる。

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石垣島で採集された抱卵個体

撮影が長引き、色が薄まってきた個体。このような個体はヒラテテナガエビのような体色になるので、鉗脚が欠落していると同定に悩むことがある。
抱いている卵は多くのテナガエビ類と同様に緑色である。

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沖縄島で採集された未成体

経験上、沖縄島ではこのような小型個体をよく目にする。
本種はヒラテテナガエビと異なり、頭胸甲側面の縦縞の色が赤っぽいことが多い。

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沖縄島で採集された個体(同行者採集)

赤と青のグラデーションのようになっている個体。
非常に美しいが、頭胸甲側面の模様などから本種と同定される。

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西表島で採集された幼体

体長15㎜未満の個体であるが、色彩ははっきりとしており容易に同定することができる。幼体を同定する際には、色彩が最も有効であるため色落ちする前に撮影するのが良い。

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沖縄島産の未成体

ケースを忘れたため水中で撮影した個体。
頭胸甲後部に緑色の卵巣が見えるため、おそらく雌の個体。
この大きさでも抱卵できると推測される。

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石垣島で採集された雌の個体

色が薄い雌の個体はヒラテテナガエビとの区別が凄まじく難しい。
有識者の方に同定していただいた結果、第3腹節の横縞が腹側まで伸長している点から本種であるらしい。

筆者が独自に調査を行った結果、眼窩後縁から最も後ろの鋸歯の基部までの長さ / 頭胸甲長の値を用いてある程度の同定は可能であるという結論に至った。
まだサンプル数が少ないのでズレがあるが、ネッタイテナガエビは0.45程度、ヒラテテナガエビは0.38程度という結果が得られている。

こちらに関しては筆者がネタ半分で研究を進めているので、ちゃんとした結果がわかり次第、こちらのブログでも紹介する予定です。

 

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参考文献一覧

・豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.
・佐伯智史・前田健・成瀬貫, 2018. 琉球列島産ネッタイテナガエビ種群3種 (甲殻亜門: 十脚目: コエビ下目: テナガエビ科)の分類と形態. Fauna Ryukyuana 44: 33–53.
・佐伯智史, 2017. カスリテナガエビ. 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅の恐れのある野生生物 第3版(動物編)ー レッドデータおきなわ ー. Pp. 313, 沖縄県環境部自然保護課, 那覇市.
・讃岐斉, 渡邊卓実, 大富潤, 駒井智幸, 2019. 鹿児島県口永良部島から得られたネッタイテナガエビ Macrobrachium placidulum(十脚目: コエビ下目: テナガエビ科)の北限記録, 日本生物地理学会会報(74): 100-106.

 

チュラテナガエビ Macrobrachium sp.

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チュラテナガエビ Macrobrachium sp.
十脚目>抱卵亜目>コエビ下目>テナガエビ科>テナガエビ

日本に生息する未記載テナガエビ2種のうちの1匹(もう1種はカスリテナガエビ
体長約40mm程度とおそらく日本産既知のテナガエビ類の中では最小
未記載種であるという点からもわかるが、依然として分類学的地位が定まっておらず、レッドデータおきなわでは情報不足のカテゴリーに分類されているほか、個体数は極めて少ないと言及されている。

現在のところ、宮古島石垣島西表島から記録されている。
しかし、宮古島の生息地では大規模な工事によって環境が変わり、現在は生息が確認されていないという。

生息環境は、河川中上流域の早瀬環境で、経験上、ネッタイテナガエビよりも上流域で採集されることが多い。

体色や形態的にはコツノテナガエビの未成体と似ているように感じる(下写真)。
双方ともに腹節のに暗色の横縞が複数入るが、コツノテナガエビの方が直線的で細い。

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左からコツノテナガエビ、チュラテナガエビ

ちなみに、放幼においてもコツノテナガエビと類似している。
筆者の自宅で飼育している抱卵を観察したところ、コツノテナガエビやオニヌマエビ類と同様に、強いエアレーションを呈した飼育槽内であっても放卵(放幼)せずに、発眼後長期にわたって抱卵し続けた。(発眼卵をスポイトで採取しエアレーションをかけたところ、1時間以内にほとんどの卵が孵化した)
このことから本種はコツノテナガエビなどと同様に、強い流れのある環境でしか放幼しないことが推測される。
また、ゾエア幼生の至適塩濃度は28‰前後で、筆者の飼育では着底まで至らなかったが、少なくとも2か月以上の浮遊期間を有することがわかった。
(おそらく腹肢が形成されていた点から第9~11ゾエア期程度までは達していた)

 

経験上、成熟した雄は黒が強くなる傾向があるように感じる。
第2胸脚は黒い指節に対して掌部は白くなることが多い。

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額角の形状はネッタイテナガエビ種群のものより幅が広く、木の葉型に近い。
また、額角歯式は3+6-9/3とされているが、筆者は写真のように頭胸甲上に4歯持つ個体を確認しているため、実際はもう少し変異の幅が広いと考えられる。

鉗脚に関しては、成長段階や性別によって形態が大きく異なることが多い。
成体の雄の個体は掌部が大きくなり、ヒラテテナガエビのような形状になる。
加えて、鉗脚は左右対称である場合と非対称である場合がある点ヒラテテナガエビと類似している。

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上の写真は脱皮殻であるが、雄の第2胸脚不動指には明瞭な1つの棘があり、可動指はそれとかみ合うように小さな2つの棘の間に窪みがある。
また、鉗脚の掌部や可動指には小棘が密生する。
上述したように、鉗脚の指節は黒色になるが、この色は脱皮殻においても維持されることから、本種を同定するうえでの同定形質になり得ると感じる。

 

余談だが、台湾などで記録されている M.horstii と酷似している
個人的な憶測だが、筆者は台湾産の M.horstiiとチュラテナガエビは同種で、真のM.horstiiは形態的に異なる別種ではないかと思っている。
このあたりの分類に詳しい方は、コメントでご教授いただけると幸いです。

 

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八重山列島で採集された雌の個体

頭胸甲内に緑色の卵巣が発達しているのが見える。
具体的な同定形質を紹介していなかったが、少なくとも筆者は頭胸甲側面後方の1本の明瞭な曲線の確認を重要視している。
ただ、色彩的に類似する種がいない(せいぜいコツノテナガエビの幼体)ため、同定に苦労することは無いと感じる。

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八重山列島で採集された雄の個体

体長35mm程度の成熟した雄の固体。上の雌と比べると黒っぽい
あまり目立たない体色に、金色の斑が見られ、上品な美しさを持つ。
また、この固体も頭胸甲上に鋸歯が4歯あるように見える。

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八重山列島で採集された雄の個体

上方から見てみると、大鉗脚掌部がかなり大きいことがわかる。
小鉗脚は再生の途中のように見える。
撮影が長引き若干色が落ちているが、掌部はもっと明確に白いことが多い。

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八重山列島で採集された抱卵個体

約30mm程度の個体だが、立派な個体と言っていいだろう。
この個体は、地色の濃い茶色と白い斑や横帯とのコントラストが絶妙である。
下の個体と比べてみるとわかりやすいが、本種の雌の第3腹節背面後部には、腹節腹側まで続く黒帯が出るようだ。
また、黒帯を前縁にでる白帯は、非常に複雑な形状であるが、下の個体と類似しており、このような模様になりやすいのかもしれない。

余談だが、この個体は撮影中に放幼を始めてしまったため、撮影後、慌ててリリースをした。実際、写真には本種のゾエア幼生が映っている。

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八重山列島で採集された雌の個体

この個体のような金色が際立つ美しい個体は、なかなか見ない。
さらに、地色が青く、まさに「チュラ=美ら」という感じだ。
これに関しては、和名を提唱した方のセンスに脱帽である。


八重山列島で採集された雌の個体

いかにも本種らしい色彩を有する個体である。
この個体は雌にしては大型な個体であるが、オスと比べてはさみ脚の指節長が長い印象である。

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八重山列島で採集された抱卵個体

上の個体よりも地味であるが、このような体色の個体が多い。
発眼前の卵は、多くのテナガエビ類と同じく緑色である。
撮影中には気づかなかったが、この個体の額角上縁には15歯があり、既知のものとは大きく外れている。
この個体が、本当に本種かは知り得ないが、本種の形態学的知見の蓄積が望まれる

 

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八重山列島で採集された雌の個体(同行者採集)

おそらく、このような体色がベーシックなものである。
腹節の横縞や頭胸甲側面の斜横線は暗褐色であることが多く、鉗脚掌部は黒い指節と対照的な白色を呈する


八重山列島で採集された個体

このサイズでも十分成体であると考えられる。
おそらく本個体は雄であるが、このサイズでもハサミの形態は雌雄で異なっているように感じた。

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八重山列島で採集された幼体

幼体に関しては、特に情報が少なく同定に自信が持てない。
筆者は、上の個体らと同様に腹節に茶褐色の横帯がある点、頭胸甲側面に斜横線がある点、鉗脚掌部が白色(透明)である点などから本種と同定した。
成体とは異なり、はさみの先端は黒くならないようだ。

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八重山列島で採集された幼体

上の個体以上に色彩が薄い幼体。
幼体の鉗脚指節は透明で、可動指と掌節の継ぎ目に茶褐色斑を有するようだ。

 

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参考文献一覧
・豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.
・林春吉, 2007. 台灣淡水魚蝦生態大圖鑑(下). 天下遠見出版.
・藤田喜久, 2017. チュラテナガエビ(仮称). 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版(動物編) —レッドデータおきなわ—. Pp. 348-349, 沖縄県環 境部自然保護課, 那覇市.
・諸喜田茂充, 2019. 淡水産エビ類の生活史-エビの川のぼり- Life History of Freshwater Shrimps. 諸喜田茂充出版記念会, 東京.
伊藤茜, 藤田喜久, 諸喜田茂充, 2005. コツノテナガエビ Macrobrachium latimanus(Von Martens, 1868)の卵発生と孵化. Cancer 14: p5-8.

家族旅行ついでの福井遠征

どうもー、最近睡眠不足のebina です🦐

 

コロナの自粛ムードもだいぶ落ち着いてきたこともあり
家族旅行として、福井にある親戚のうちに旅行に行ってきましたー。

と、まぁ、生き物屋として旅先で採集しないのは論外ですよね(笑)
いつかの偉い方も「なぜ採集するのですか?」と聞かれ
「そこに、川があるから」と答えたようにebina も採集に行ってきました。

そんなどうでもいい茶番は置いといて、さっそく報告に移っていきますよ!

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シマイサキ Rhinchopolates oxyrhynchus

沈水植物をガサガサしていたらたくさんとれました!
関東にも生息してますが、汽水弱者なので初採集の魚です...

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ミウキゴリ Gymnogobius petschiliensis

これは関東でもたくさんとれる魚ですね!
あまりにも普通種なので撮影したのは初めてでしたが(笑)

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ミゾレヌマエビ Caridina leucosticta

これも関東で普通にとれるヌマエビですねー。
初めての日本海にそそぐ河川でしたが、悲しくも親近感を感じました(涙)

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トノサマガエル Pelophylax nigromaculatus

ここは河川ではなく観光地の池ですが、大量に沸いてました(笑)
地元じゃ見れないカエルなので、思わぬところで遭遇できてラッキー!

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シマヨシノボリ Rhinogobius nagoyae

どこにでもいるヨシノボリですが、こんなに立派な個体は初めて見ました!!
正直、あまりにも大きかったので最初はオオヨシかと思ったほど。。

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シマドジョウ類

生息地的にはニシシマかオオシマなのですが、ebina には見当もつきません(笑)
とりあえず、普段採集できるヒガシシマではないので初採集の魚(^o^)

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ヌマエビ Paratya compressa

福井県で最も多く採集できたエビでしたね🦐
(やべぇ、全然コメントすることが無いわ...)

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ヤマトンボ類のヤゴ?

足元にかなり大きなヤゴがいたので撮影。
擬態が上手なのか、ピントが全然あってくれませんでした。。

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ドジョウ

どこの川に行ってもドジョウは生息しているんだなーと実感しました。
日本海側のドジョウと関東のドジョウでは遺伝的に異なっていたりするのかな?

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ドンコ Odontobutis obscura

関東でも採集できますが、実は移入されてきた国内外来種( ゚Д゚)
こいつは生息地的に、正真正銘の在来分布のドンコだと思います(^O^)

 

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クロヨシノボリ? Rhinogobius burunnus

弱っていたのか、適当に掬ったら採集できました(なんかごめんね)
クロヨシは割とレアな種らしいので、もしかしたら誤同定かもしれません。。

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福井県の山奥の風景

とりあえず、関東の河川と比べて透明度が高い河川が多かったです。
正直、ウェットスーツを着て素潜り撮影したくなるような場所でした(*´▽`*)

こんなところで、かなりしょぼかった福井遠征の報告を終了したいと思います。
余談ですが、写真撮影を忘れたのですが、エビ類としてミナミテナガエビヒラテテナガエビトゲナシヌマエビの稚エビが採集できましたが、やはり太平洋側のほうが回遊してくる量は多いように感じました。

本当に、遠征記事とは思えないくらい薄い記事を書いてしまって申し訳ないのですが、生き物屋の皆さん、今後ともどうぞよろしくお願いしますm(__)m

▼これまでの記事一覧はこちら▼ebina-1.hatenablog.com

 

最新版 関東の淡水エビ図鑑 全19種

こんにちは、Crazy Shrimp管理人の ebinaです🦐

今回は、「川でエビ採集したけど、種類がわからない!!」
と困ってる全国(特に関東)の皆様のお役に立てれば、ということで
ebina の独断で、採集しやすい順にまとめてみました(^o^)

見分け方はこちらの記事

 

 

類似種の項を作成しました。
類似種をクリックすると記事内移動
写真上の種名をクリックするとCSPLに移動するようにしました。

(2021年6月19日更新)

 

 

 

1. 採集難易度 ★☆☆☆(普通種)

ここに挙げた6種は川や用水路のガサガサで簡単に採集できます。
個人的に採りやすい順に並べてみました(^o^)

 

 

カワリヌマエビ属の1種

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  • 属:カワリヌマエビ属
  • 大きさ:最大で3cmくらい
  • 生息地:河川中・下流域、用水路、池など
  • 色:透明, 黒, 褐色, 青, 赤, 緑, 黄色など
  • 特徴:大きな卵を持つ
  • 類似種:ヒメヌマエビ

関東で唯一のカワリヌマエビ属
図鑑によっては、シナヌマエビ Neocaridina davidi 表記。
中国などから釣り餌用、水槽用として輸入された外来種
おそらく、観賞魚店で売ってるミナミヌマエビに混ざっている
在来のヌマエビとの競合が問題となっている。

 


ミゾレヌマエビ

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  • 属:ヒメヌマエビ属
  • 大きさ:最大で3.5cmくらい
  • 生息地:河川中・下流域の緩流部など
  • 色:透明, 赤, 青, 黒, 茶など
  • 特徴:腰が曲がっている 額角が長い
  • 類似種:ヌマエビ, ヌカエビ, ツノナガヌマエビ

腰が角ばっているヌマエビで、採集しやすい。
大型メスは体色があるが、小型オスは透明なことが多い。
死滅回遊種のツノナガヌマエビとの区別は顕微鏡が必要となる。

 


テナガエビ

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  • 属:テナガエビ
  • 大きさ:はさみを含めず、最大で9cm程度
  • 生息地:河川下流、湖など
  • 色:写真のような色が多い
  • 特徴:頭胸甲側面に歪な3本線 額角が長い
  • 類似種:ミナミテナガエビ

和名がテナガエビなので、紛らわしい。
夏の夜にテトラポッドなどを照らすと観察できる。
唐揚げにして食べると美味しい。

 


ミナミテナガエビ

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テナガエビと似ているテナガエビ( ´∀` )
種小名は「台湾の」という意味。
たま~に特徴のm模様が見づらいので注意!!

 


ヌマエビ

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  • 属:ヌマエビ属
  • 大きさ:最大で4㎝くらい
  • 生息地:河川下~上流域、稀に用水路
  • 色:地色が透明で赤、暗色など
  • 特徴:額角が長い 腰が曲がっている 斑模様
  • 類似種:ヌカエビ, ミゾレヌマエビ

和名がヌマエビと非常に紛らわしい。
写真上がメス、下がオス。
つまり、オスは透明であることが多い。
かき揚げにすると美味しいが、額角が刺さるので痛い。

 


スジエビ

f:id:ebina-1:20210531201516j:plain

  • 属:スジエビ
  • 大きさ:最大で6㎝を超える
  • 生息地:河川中・下流域の緩流部、湖など
  • 色:透明や薄い黄色
  • 特徴:頭胸甲側面に\ /模様 腹節に横筋模様
  • 類似種:チュウゴクスジエビ

”手が大きくならないテナガエビという感じ。
A~C 3つのタイプがおり、そのうちAとBは関東にいる
上写真がBで、下写真がAである。
要するに、Aの方がスジ模様が不明瞭

 

 

2. 採集難易度 ★★☆☆(少しレアな種)

ここに挙げた4種は、少し探さないと採れないかもしれません。
ただ、場所によっては大量にいるというケースもあります。

 

 

ヒラテテナガエビ

f:id:ebina-1:20210512133422j:plain

  • 属:テナガエビ
  • 大きさ:はさみを含めず、最大で9cmくらい
  • 生息地:河川中・上流域の早瀬・淵など
  • 色:茶色など
  • 特徴:手が平たい 第3腹節背面に黒い横帯 頭胸甲側面に縦縞
  • 類似種:関東では特にいない

基本、はさみ脚は左右非対称。
台湾では"大和沼蝦"と呼ばれている。
食べる際には、泥抜きをした方が良い。
逆に泥抜きせずに川底の味を楽しむのも... 

 


ヌカエビ

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  • 属:ヌマエビ属
  • 大きさ:最大で3.5cmくらい
  • 生息地:河川中・上流域の緩流部など
  • 色:透明感のない地味な体色
  • 特徴:頭胸甲上に鋸歯を持たない 卵が大きい
  • 類似種:ヌマエビ, ミゾレヌマエビ

ヌマエビと近縁な日本固有種のヌマエビ
東・北日本を中心に生息している。
カワリヌマエビ属の1種による影響が深刻。

 


チュウゴクスジエビ

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  • 属:スジエビ
  • 大きさ:最大で4cmくらい
  • 生息地:河川下流域、公園の池など
  • 色:地色は濁った透明、縞模様は黒や茶褐色
  • 特徴:大きな卵を持つ 横縞模様
  • 類似種:スジエビ(特にAタイプ)

和名の通り、中国のほう移入された外来種
頭胸甲側面の模様などでスジエビと見分けることができる。
釣り餌「シラサエビ」という名で売られていたことがあった。

 


トゲナシヌマエビ

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  • 属:ヒメヌマエビ属
  • 大きさ:最大で3.5cm程度
  • 生息地:河川全域、用水路など
  • 色:透明, 褐色, 黒, 青, 緑など
  • 特徴:額角上縁にトゲ(鋸歯)がない 腰が角ばらない
  • 類似種:リュウグウヒメエビ

遡上力が強く、掬っても網の上を歩くことがある。
色々なところに生息しているが、関東だと比較的珍しい。
一方で、南西諸島では夥しい数がいる。
関東では12月下旬以降に激減する
狙うなら夏~秋です。

 

3. 採集難易度 ★★★☆(かなりレアな種)

ここに載ってる2種は、なかなか採れないレアな種です。
しかも、両種とも関東で採れる中ではトップクラスの美しさ!!
これらが採れたら、自慢してもいいと思います() コメント欄にどうぞ~

 

 

ヤマトヌマエビ

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  • 属:ヒメヌマエビ属
  • 大きさ:最大で5.5cmくらい
  • 生息地:河川最上流域、沢など
  • 色:地色は透明や黄色、赤、青など
  • 特徴:体側に4本のドット線が見られる 尻尾に青い模様
  • 類似種:リュウグウヒメエビ(幼体)

観賞魚店でも売られており、非常に美しいが、幼体は模様が薄い場合がある。
種小名は、たくさんの鋸歯という意味。
かなり大型のヌマエビで、迫力がある。
過剰な採集は絶滅の元です。やめましょう。

 


ヒメヌマエビ

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  • 属:ヒメヌマエビ属
  • 大きさ:最大で2.5cmほど
  • 生息地:河川中・下流
  • 色:褐色, 赤, 黒, 青など
  • 特徴:頭胸甲上に鋸歯が多い 独特な模様
  • 類似種:カワリヌマエビ属の1種

関東だと、かな~り珍しい印象。
模様は2パターンあり、
1枚目のような横縞タイプ
2枚目のような縦縞タイプがある。
非常に美しいヌマエビだが、色は変わりやすい
トゲナシヌマエビ同様、冬になると姿を消すので採集するなら夏~秋が狙い目。

 

 

4. 採集難易度 ★★★★(死滅回遊種)

この7種は南の方から関東圏にやってくる、いわゆる死滅回遊種です。
ほとんどの場合、8月下旬~12月上旬でしか見れないです。
ただ、時期とポイントを押さえればきっと採集できる!!
(注) 関東で採れる個体は、写真よりもはるかに小さい

 

コンジンテナガエビ

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  • 属:テナガエビ
  • 大きさ:はさみをあわせると30㎝を軽く超える。
  • 生息地:河川全域など
  • 色:写真のような色が多い
  • 特徴:額角上縁歯数が少ない デカい
  • 類似種:コツノテナガエビ(幼体)

死滅回遊エビの中では記録数が多い
むしろ、ヒメヌマエビよりも採集しやすい場合も。
在来の淡水エビの中で最も大きくなるエビ。
一度、天ぷらにして食べたいなぁ。

 


ザラテテナガエビ

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  • 属:テナガエビ
  • 大きさ:はさみを含めずに最大8.5cm程度
  • 生息地:河川中・下流域の緩流部
  • 色:写真のような色が多い
  • 特徴:額角が細長く、上方に湾曲 はさみが左右非対称 頭胸甲側面に3本の斜横線
  • 類似種:ミナミテナガエビ, スジエビモドキ

片手が異常に長くなるテナガエビである。
コンジンテナガエビよりも個体数が少なく、珍しい
南のほうに、こいつのそっくりさんがいるらしい。
幼体の識別は、コンジンテナガエビよりも容易だが、汽水性のスジエビモドキと似ているため、誤同定に注意。

 


リュウグウヒメエビ

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  • 属:ヒメヌマエビ属
  • 大きさ:最大で3.5cmくらい
  • 生息地:河川中流域の急流域
  • 色:透明, 褐色, 黒, 赤褐色, 緑褐色など
  • 特徴:頭胸甲側面に「~」模様
  • 類似種:トゲナシヌマエビ

普通にガサガサして、採集できるエビではない。
トゲナシヌマエビとかなり似ているが、額角上縁歯を持つ。
種小名は、フィリピンのラオグという地名から。
経験上、南西諸島でも比較的珍しい。

 


オニヌマエビ

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  • 属:オニヌマエビ属
  • 大きさ:最大で7㎝を超える
  • 生息地:河川中・上流域の早瀬など
  • 色:茶色, 黄色, 灰色, 緑褐色など
  • 特徴:色々ある。CSPLを参照。
  • 類似種:特になし

リュウグウヒメエビ以上に採集が難しいレア種
日本最大のヌマエビ類だが、関東では幼体のみ
採集できれば、同定には困らない。
観賞魚店で売られているアジアロックシュリンプは近縁種。

 


コツノテナガエビ

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  • 属:テナガエビ
  • 大きさ:最大で10cm超えない程度
  • 生息地:河川最上流域*
  • 色:透明, 褐色, 濃褐色など
  • 特徴:第2胸脚腕節が短い 額角上縁歯が少ないことが多い
  • 類似種:コンジンテナガエビ(幼体)

近年、関東圏に回遊してきていることが判明したエビ。
レア度に関しては、言うまでもない。
幼体は、腹節に横縞模様が出るのが特徴。
成体では縞模様が不明瞭になるが、はさみ脚が特徴的な形状となり、非常に格好いい。
*関東では、遡上途中の幼体しか記録されていない。
そのため、河川中流域の緩流部を狙うのがおすすめ。

 


イッテンコテナガエビ

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  • 属:スジエビ
  • 大きさ:最大で4.5cmくらい
  • 生息地:河川下流域、汽水域など
  • 色:透明
  • 特徴:第6腹節あたりに黒点が1つ 額角が長い
  • 類似種:特になし

ebina も関東では採集したことがなく、極めて珍しい
そもそも南西諸島でもあまり採集したことがない。
和名にテナガエビとつくが、スジエビの類である。

 


ツノナガヌマエビ

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  • 属:ヒメヌマエビ属
  • 大きさ:最大で3.5cmくらい
  • 生息地:河川中・下流域の流れのゆるい場所
  • 色:透明, 褐色, 赤など
  • 特徴:ミゾレヌマエビとそっくり
  • 類似種:ミゾレヌマエビ

関東では、かなり前に千葉県で記録されて以来、記録なし。
ミゾレヌマエビと酷似しており、網に入っても気づかないのが現状。
額角がミゾレヌマエビより長いのが特徴だが、額角が短い個体も多い。
結局のところ、肛門前棘を確認しないと同定できない。

 

 


これらの種に加えて、ユビナガスジエビシラタエビのような汽水性のエビがいますが、今回は載せていません。

ちなみに論文等は発表されていませんが、今回紹介していないような珍しいエビがまだまだ採集されています。興味を持った人はぜひぜひ淡水エビ採集に挑戦してみてください!!

今回の記事では、関東で記録されているエビたちを簡単にまとめてみました。
詳しい同定方法は下の記事でまとめましたので、そちらも是非活用してください!

初心者ながらこれからも記事を作成していくので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

 

同定方法の記事はこちら

 

今までの記事一覧はこちら

 

参考文献一覧

・川井唯史・中田和義, 2011.  エビ・カニ・ザリガニ 淡水甲殻類保全と生物学, 生物研究社, 東京.
・豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.
・丸山智朗, 2018. 相模湾および周辺海域流入河川において 2016 年 8 月以降に採集された熱帯性コエビ類 5 種の記録. 神奈川県自然誌資料 (39): 31-38.
・西田一也, 2018. 相模川城山ダム下流域における在来生物ヌカエビParatya improvisa外来生物カワリヌマエビ属エビ類Neocaridina spp.の流程分布. 神奈川自然史資料(37): 21-24.
・張 成年, 柳本 卓, 丸山智朗, 池田 実, 松谷 紀明, 大貫貴清, 今井 正, 2018. スジエビ Palaemon paucidens の遺伝的分化. 日本生物地理学会 73: 1-16.
・Magalie CASTELIN, Valentin de MAZANCOURT, Gérard MARQUET, Gabrielle ZIMMERMAN & Philippe KEITH, 2017. Genetic and morphological evidence for cryptic species in Macrobrachium australe and resurrection of M. ustulatum (Crustacea, Palaemonidae). European Journal of Taxonomy 289; 1-27.