Crazy Shrimp

エビ好き大学生による淡水エビ布教ブログ

ヒラテテナガエビ Macrobrachium japonicum

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ヒラテテナガエビ Macrobrachium japonicum  (De Haan, 1849)
十脚目>抱卵亜目>コエビ下目>テナガエビ科>テナガエビ

南西諸島から石川県、福島県まで広く分布しているテナガエビ類。
沖縄島~関東地方では個体数が多いが、八重山諸島や北限付近では個体数が少ない。

体長は92㎜に達するとされ、テナガエビ属の中でも標準的なサイズ。

温帯域で普通にみられる3種(本種、ミナミテナガエビテナガエビ)のなかでは、比較的上流域を好む種であり、河川中流域~上流域で採集されることが多い
ただし感潮域でも、流れの速い環境であれば普通に見ることができる。

上述したように流速のある環境で採集されることが多いが、周辺の淵や落ち葉が溜まっているような環境で採集されることも少なくない。

個人的な経験上、早瀬で採集されることが多い本種であるが、同様に早瀬を好むネッタイテナガエビと同時に採集されることが少なく、同じ瀬の中でも、ある程度の棲み分けをしていると考えられる。
経験上、ネッタイテナガエビの方が、より流れが速い環境で採集されることが多い印象である。

 

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額角歯式は 4-5+5-7/2-4 で、額角は第1触角柄部先端に到達する。
特に、頭胸甲上の鋸歯数が多いため、温帯域の他種との区別は容易である。

生時の色彩に関して、地色は茶褐色であることが多く、第3腹節背面に黒い横帯が見られるのが特徴である。
また、頭胸甲側面には暗色の縦縞が複数本見られ、成体では網目模様になる。
ただし、一部の水域(特に南西諸島)では、縦縞や腹節背面の帯が白色になることが多く、かなり雰囲気が違って見える。

このような色彩的特徴は、同様な環境を好むネッタイテナガエビと類似しており、慣れないと識別するのが難しい。

 

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関東で観察された雄の個体

写真のように、第2胸脚は左右非対称であることが多い。
上で頭胸甲側面などの色彩的特徴を述べたが、成体になると薄くなる印象がある。

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関東で観察された雄の個体

上の個体同様に、頭胸甲側面の線は不明瞭である。
第3腹節背面の横帯は黒色よりも白色が目立っている。


石垣島で採集された雄の個体

観察ケースに入らなかったため、網の上で撮影した。
八重山諸島では個体数が少なく、このような大型個体は滅多に見ることができない。

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沖縄島で採集された雄の個体

頭胸甲側面に金色の縦縞が見られる。
このような色彩は沖縄島でよく見ることができる。

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沖縄島で採集された個体

この個体は体色がかなり薄く、頭胸甲側面の縦縞が不明瞭である。
しかし第3腹節背面の横帯は明瞭であるため、同定は難しくない。
余談だが、本種の横帯は腹節下部まで到達しないので、帯の長さでネッタイテナガエビとの区別できる場合がある。

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沖縄島で採集された抱卵個体 (同一個体)

上の方は体色が薄く、頭胸甲側面の縦縞も白色である。
さらに腹節下部に白色の模様が入るほか、腹節背面の帯も白が目立っており、慣れないと本種と判断するのが難しい。
しかし、10分程度放置したら、下のように普段見るような体色に戻った。
このような変な色彩の場合は、放置すると同定しやすくなる場合もある。

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徳之島で採集された雄の個体

南西諸島の清流域でよく見られる美しい色彩の個体。
頭胸甲側面の縦縞や第3腹節背面の横帯が白っぽく縁どられるため、南方種を彷彿させる体色である。
余談だが、奄美群島の河川急流域には南方系のテナガエビ類が少ないため、本種の生息密度が非常に高いことが多かった。

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徳之島で採集された雌の個体

ネッタイテナガエビと非常に類似した雰囲気の個体。
さらに、採集された環境も早瀬環境であったため、初見では正確に見分けることは難しいと感じた。
このような体色は、早瀬環境で生息するうえで何らかのメリットがあるのかもしれない。


関東で採集された抱卵個体

環境にも影響されるだろうが、内地でみられる大型のメス個体は濃色であることが多い印象である。
この個体は頭胸甲側面の模様も不明瞭であるが、金色の小斑が優雅である。

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関東で採集された雄の個体

上の固体らと比べてかなり若い個体で、第3腹節後方の黒い横線が明瞭である
また、頭胸甲側面には網目模様が見られる。

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関東で採集された抱卵個体

言及していなかったが、茶色の個体だけでなく、このような青みがかった体色の個体や黒っぽくなる個体もいる。

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東海地方で採集された個体

頭胸甲側面の縦縞が網目模様のようになっている。
この大きさでは、色が薄くなるとネッタイテナガエビと区別しづらい場合があるので、南西諸島で採集された個体を同定する場合には注意したい。

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関東地方で採集された未成体

生後1年未満の小さな個体。頭胸甲側面の縦縞が明瞭である。
これより小さい個体でも、色彩がはっきりしていれば同定可能である。

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徳之島で採集された未成体

採集から撮影までに時間が空いてしまったため、全体的に薄い色彩になっている。


石垣島で採集された未成体

沖縄島以北では多くの河川で優占しているが、八重山では個体数が少ない印象である。
ちなみに、宮古諸島では比較的多産する環境もあるため、八重山諸島で多産するネッタイテナガエビ等との競合が個体数を制限する要因となっているのかもしれない。


石垣島で採集された未生体(雌)

南西諸島でよく見かける印象であるが、色が薄くなった個体は胸脚の節のオレンジ色が明瞭になることがある。

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石垣島で採集された雌の個体

比較的大型の雌だが、頭胸甲側面の模様は鮮明。
沖縄の個体と本州の個体では、幼生期の大きさといった点で異なるらしい。

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関東で観察されたペア

交尾前ガードと呼ばれている雄による雌の抱え込み。雌は脱皮直後でないと精胞を受け取れないので、雌を抱え込んでガードするらしい。

 

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参考文献
・豊田幸詞, 2019. 日本産 淡水性・汽水性 エビ・カニ図鑑, 緑書房, 東京.
・諸喜田茂充, 2019. 淡水産エビ類の生活史-エビの川のぼり- Life History of Freshwater Shrimps. 諸喜田茂充出版記念会, 東京.
・丸山智朗, 乾直人, 池澤広美, 2018. 温泉水の流入する釜戸下流域(福島県いわき市)における十脚甲殻類の記録. 茨城県自然博物館研究報告(21): 135-142.
・丸山智朗, 2017. 越前・能登佐渡の河川で採集されたコエビ類. Cancer 26: 35-42.

 

採集日記 2020-7,8月号

 こんにちはー、Crazy Shrimp 管理人のebinaです🦐

今年の梅雨は長くて、7月はほとんど雨でしたね(*_*)
その結果、7月に採集行けたのは1日のみ、しかもエサ用エビ採集。。
これじゃ到底記事は書けねーだ( ;∀;)
ってことで今回は、7~8月複合号にすることにしました(^O^)

追記:8月も色々と(大学の課題)忙しく採集に行けなかったので全体的に控えめな記事となってしまいました。申し訳ありませぬ。
▼先月号はこちら▼

今夏は、諸事情により普段使ってるデジカメが無かったので
8月中旬までは、スマホ(iPhone6s)のゴミ写真が連発します。。
その点のご理解をお願いします。(頑張ったから許してちょ

まず、ほとんど採集に行けてない7月号分です(笑)

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ナマズ Silurus asotus

ebina がずっと探し求めていた魚です(≧▽≦)
網に入ったときはウシガエルおたまだと思いました(笑)
まさか、いつも通ってる用水路で採れるとは思わなかった!!
という感じでいつもの用水路のポテンシャルの高さに感動した7月でしたー

ここからは、真夏の8月号になりますよ!!

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アユカケ  Cottus kazika

5月の時よりもだいぶ大きくなってました!なんていうか、1時間あたり1匹採集できるちょうどいいレア度が良いんだよね(笑) 

下の方にデジカメで撮ったアユカケも貼ってますので比較してみてください。

 

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ミゾレヌマエビ Caridina leucosticta

何故か白い卵を抱いていたのでびっくり。
初見ですが、発眼ではなさそうです…パッと見カビがついてるのかと思いました(°▽°)

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こっちが普段見る抱卵ミゾレヌマエビ。
色はあてにならないけど、まさかの色彩変異だったりしないかなー(笑)

 

ここからデジカメ撮影になります!
ついでにiPhoneは水没してお亡くなりになりました。(マジです)

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オオヨシノボリ Rhinogobius fluviatilis

ホームリバーで初採集です!!
激流に抗って採集を続けた結果の1匹(*^o^*)
普段シマヨシノボリしか見られないので尊い( ;∀;)

 

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カワヨシノボリ R.flumineus

初採集のヨシノボリでありんす!
帰り際の岸辺でたまたま採れましたね(笑)

当初、ebina は生息地からトウヨシノボリと思っていましたが、Twitterで質問をしたところ有識者の方々がカワヨシっぽいと同定してくださいました。
要するに、文献に載ってない場所で採集できちゃった個体、、、

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ゴクラクハゼ R.similis

採集日記の常連。水中撮影の練習にもってこいです(笑)

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ヒガシシマドジョウ Cobitis sp. BIWAE type C

上と同様、光を当ててもあんまり逃げないので撮影の練習になります(^o^)

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イカワ Opsariichthys platypus

普通種ですが、水中にいると光る魚体が美しい。

ご察しの方もいるかもしれませんが、デジカメを手にした喜びから
水中写真がかなり連続します、お許しを。

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ヒラテテナガエビ Macrobrachium japonicum

ご立派な個体でありんす。食ったら絶対うまいだろうなー
こんど、エビ食べました企画でもやってみようかしら(*´▽`*)

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アユカケ(再び) Cottus kazika

予告通り、こちらがデジカメで撮影した個体ら。
死んだ奴(スマホ)を悪く言うのもあれですが、iPhone6sとは別格やな。

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テナガエビミナミテナガエビ M.formosense, M.nipponense

どっちがどっちだかわかりますか?
なんだかんだ、ebina も自信が持てないくらい難しいですね(笑)
答えは一番下に書いておきます。

 

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リュウグウヒメエビ(と思われる) Caridina laoagensis

 

 (12月に編集)ごめんなさい、誤同定でした
水槽で飼育した結果、ヤマトヌマエビという結果になりましたね。

 

てな感じで、まさかの熱帯性コエビ類が採集できるミラクルが起こった今回の採集日記の報告を終了したいと思いまーす!!

来月はもっと無効分散の熱帯性コエビ類が熱々な季節となるので、期待しててくださいな!!(採れるとは言ってない)
生き物屋の皆さんならびに、淡水エビ好きな世界中の皆様、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

◀先月号はこちら 来月号はこちら▶

 

▼これまでの記事一覧はこちら▼

 

 

テナガエビの問題の答えは

左(前者)がミナミテナガエビ、右(後者)がテナガエビでした。
要するに、学名の順が正解。和名順は不正解でした。

Crazy Shrimp's Photo Library

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淡水エビの写真庫(川エビ図鑑)
撮影した写真だけでなく、エビの基本情報や私個人が知りたいポイントなどを踏まえながらエビを紹介。
すべて実際に採集したエビで、ほとんどは生体写真(飼育個体を含む)ですので、エビ図鑑の標本写真等では見られない雰囲気を堪能してください。

本ブログ内で用いている写真の無断転載・使用は禁止します。

このブログは一大学生の趣味によるもので、採集記録・身内への布教を目的として作成されています。そのため、本ブログ記載の内容には誤り等がある可能性があることをご理解の上ご利用ください。

また、本ブログの記載の内容による不測の事故および損失に関しては、筆者はその責を負いかねます。

 

▶Crazy Shrimp内の記事において、淡水エビの和名or学名をクリック(タップ)すればいつでもこれらの記事に飛べるようにしています!!(現在進行形)
「あれ、このエビどんな感じだった?」ってときに活用してください☆
(色文字になっていない種は記事が未完成なので、今しばらくお待ちください)

 

ヌマエビ科 Atyidae

ミナミオニヌマエビ属 Atyoida

 ・ミナミオニヌマエビ A.pilipes 

オニヌマエビ属 Atyopsis

 ・オニヌマエビ A.spinipes 

Australatya属 Australatya

 ・ヒメオニヌマエビ A.obscura

ヒメヌマエビ属 Caridina

 ・ツノナガヌマエビ C.grandirostris
 ・リュウグウヒメエビ C.laoagensis
 ・ミゾレヌマエビ C.leucosticta
 ・オオバヌマエビ C.macrodentata
 ・ヤマトヌマエビ C.multidentata
 ・サキシマヌマエビ C.prashadi
 ・マングローブヌマエビ C.propinqua
 ・アシナガヌマエビ C.rubella
 ・ヒメヌマエビ C.serratirostris
 ・トゲナシヌマエビ C.typus

カワリヌマエビ属 Neocaridina

 ・シナヌマエビ N.davidi
 ・ミナミヌマエビ N.denticulata
 ・イリオモテヌマエビ N.iriomotensis
 ・
イシガキヌマエビ N.ishigakiensis

ヌマエビ属 Paratya

 ・オガサワラヌマエビ P.boninensis
 ・ヌマエビ P.compressa
 ・ヌカエビ P.improvisa

チカヌマエビ属 Halocaridinides

 ・チカヌマエビ H.trigonophthalma 

ムカシヌマエビAntecaridina

 ・ドウクツヌマエビ A.lauensis

 

テナガエビ科 Palaemonidae

テナガエビ属 Macrobrachium

 ・ザラテテナガエビ M.australe
 ・スベスベテナガエビ M.equidens
 ・ミナミテナガエビ M.formosense
 ・ツブテナガエビ M.gracilirostre
 ・オオテナガエビ M.grandimanus
 ・ヒラテテナガエビ M.japonicum
 ・コンジンテナガエビ M.lar
 ・ヒラアシテナガエビ M.latidactylus
 ・コツノテナガエビ M.latimanus
 ・マガタマテナガエビ M.lepidactyloides
 ・テナガエビ M.nipponense
 ・ネッタイテナガエビ M.placidulum
 ・ショキタテナガエビ M.shokitai
 ・カスリテナガエビ M.sp.
 ・チュラテナガエビ M.sp.

スジエビ属 Palaemon

 ・イッテンコテナガエビ P.concinnus
 ・スネナガエビ P.debilis
 ・オガサワラコテナガエビ P.ogasawaraensis
 ・シラタエビ P.orientis
 ・ユビナガスジエビ P.macrodactylus
 ・スジエビAタイプ P.paucidens
 ・スジエビBタイプ P.sp.
 ・スジエビCタイプ P.sp.
 ・スジエビモドキ P.serrifer
 ・チュウゴクスジエビ P.sinensis

 

テッポウエビ科 Alpheidae

ドウクツテッポウエビ属 Metabetaeus

 ・オハグロテッポウエビ M.minutus

 

 

INFORMATION

上記にない種および属は、未採集のためリストアップしていません
日々、採集・撮影に努めていきますので、今後の更新に乞うご期待!


▶ミゾレヌマエビ、ヤマトヌマエビヒラテテナガエビなど複数の記事を更新しました。主に、奄美群島産個体の写真追加です。(2022/03/14)


スジエビBタイプの記事を作成しました。本記事から小見出しをつけたので、少し見やすくなったと思います。以前の記事も今回の体裁に合わせて変更していく予定です。(2022/02/06)


▶ヒラアシテナガエビとイッテンコテナガエビの記事を作成しました。また、ページのレイアウトを少し変更しました。(2021/12/16)


▶オオテナガエビ、チュラテナガエビ、ヒメヌマエビなど複数の記事を更新しました。主に、南西諸島産個体の写真の追加+加筆・修正です。(2021/12/04)


▶ドウクツヌマエビを新規採集しました👏この調子で地下水系棲コエビ類の制覇を目指したいです。(2021/11/27)


▶シラタエビ、ユビナガスジエビを新規採集しました👏これを機に、汽水性スジエビ類(シラタエビ、ユビナガスジエビスジエビモドキ)とスジエビBタイプをリストアップしました。(2021/11/10)


▶更新を忘れていましたが、ミゾレヌマエビ、ヌマエビ、ツノナガヌマエビの記事を作成しました。未掲載の種に関しては、今しばらくお待ちください。(2021/08/06)


リュウグウヒメエビ、ネッタイテナガエビヒラテテナガエビなど複数の記事を更新しました。主に南西諸島の個体の写真の追加です。(2021/05/12)


▶ミナミオニヌマエビ、オオバヌマエビ、サキシマヌマエビ、ザラテテナガエビ、ツブテナガエビ、オオテナガエビ、カスリテナガエビ、ショキタテナガエビの8記事を掲載しました。未掲載の種に関しては、今しばらくお待ちください。(2021/04/22)


▶ヒメオニヌマエビを採集しました👏この調子で記録の少ないコエビ類を採集していきたいです(2021/04/22)


マングローブヌマエビ、イシガキヌマエビ、チカヌマエビ、オハグロテッポウエビの4種を新規採集しました👏 記事に関しては、今後作成する予定です。(2021/04/03)

春の沖縄遠征(2020-3月)淡水4 初記録種!!

こんにちは、ebinaです🦐

長かった沖縄遠征も最終回となりました。
正直、1か月近くも採集し続けましたので、体力がもう限界です(笑)
ただ、帰るとなるとちょっと寂しいですね。。
沖縄遠征ラストの記事ですので、出し惜しみせず写真はっていきます!
▼前回の記事はこちら▼ 

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とある河川上流域。ebinaは採集していませんが、そそられますね。 

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サキシマヌマエビ Caridina prashadi

小っちゃくて、コロコロっとしてるヌマエビ。ぷりちー♡♡
とにかくレア度が段違いに高い気がします(;゚Д゚)
2枚目は、持ち帰ってから家で撮影しましたー 

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イリオモテヌマエビ Neocaridina iriomotensis

名前の通り、西表固有種のカワリヌマエビ属のエビです。
関東にいる Neocaridina と違い、かなり弱々しい印象です。 

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ミナミオニヌマエビの集団 Atyoida pillipes

人工物の壁にびっしりと張りついています Σ(゚Д゚)
言葉では言い表せない、神秘的な何かを感じました。。 

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ネッタイテナガエビ Macrobrachium placidulum

本島では、かなりのレアキャラでしたが
離島では、どの河川にも生息している普通種。離島半端ねーっす。

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ショキタテナガエビ Macobrachium shokitai

西表固有種で日本で唯一の大卵少産型のテナガエビ
大型の雄は、黒っぽくなります。くーるですねー!!
自然での小型個体は、コンジンのように見えます。
下の写真 ↓

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ショキタテナガエビの小型個体

 

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コンジンテナガエビ Macrobrachium lar

ずっと写真を撮っていませんでしたが、これが最強の普通種です(笑)
本島から離島の、下流から上流まで、どこにでもいます。
撮影する気が起きないほど、たくさんいます。(撮り忘れました)
この固体は、額角歯式が異常だったので、たまたまスマホで撮影。


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マガタマテナガエビ Macrobrachium lepidactyloides

2018年に和名が提唱されたばかりのテナガエビ(1)
実は、今まで沖縄島でしか発見されていなかったので(1)(2)
ebinaの採集した個体が、離島での初記録となるかもしれません。
(まだ、報告をしていないので)

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キバラヨシノボリ Rhinogobius sp. YB

陸封型のヨシノボリで、絶滅危惧種1B類に指定されている(3)

 

これにて、春の沖縄遠征報告を終了とします。
最後まで見てくださった方、本当にありがとうございました。
これからも採集記録を作成していきますので
生き物屋の皆さん、なにより淡水エビ好きの皆さん、
今後ともどうぞよろしくお願いします。

▼これまでの記事一覧はこちら▼

参考文献

1.佐伯智史・前田健・成瀬貫, 2018. 琉球列島産ネッタイテナガエビ種群3種 (甲殻亜門: 十脚目: コエビ下目: テナガエビ科)の分類と形態. Fauna Ryukyuana 44: 33–53.

2.佐伯智史, 2017. マガタマテナガエビ. 沖縄県環境部自然保護課(編), 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版(動物編) —レッドデータおきなわ—. Pp. 313, 沖縄県環 境部自然保護課, 那覇市.

3.細谷和海, 2015. 三渓ハンディ図鑑15 日本の淡水魚. 東京, 山と渓谷社.

春の沖縄遠征(2020-3月)淡水3 チュラテナガエビ発見!!

こんにちは、Crazy Shrimp管理人の ebinaです🦐

今回は、沖縄遠征の離島での淡水エビ採集報告をします。
1種当たりの写真の枚数が多めですので、前半と後半に分けて紹介していきます!
▼前回の記事はこちら▼

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ミナミオニヌマエビ Atyoida pillipes

最上流域に生息する種。こんな見た目でもヌマエビです!!
つぶれたようなダサい顔をしていますが
これは、激流の中で生息するために特化したものです( ゚Д゚)/
下の写真 ↓

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このように岩に張り付いて、流れてくる餌を食べているということですね。

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オオバヌマエビ Caridina macrodentata

最近、和名がつけられたヌマエビ。和名(オオバ=大歯)のとおり鋸歯が大きい。
トゲナシヌマエビと混じって採集できましたが、数は多くはないです。 

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ツブテナガエビ Macrobrachium gracilirostre

前回の記事でも載せましたが、立派だったのでもう1回登場()
本島だと激レアですが、離島だと割と普通にいます(多いとは言ってない)。 

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チュラテナガエビ Macrobrachium sp.

まさか採集できるとは思わなかった、幻のテナガエビ \(≧▽≦)/ 
2枚目は、リリース後のやらせ写真ですが白く輝く掌部がなんとも美しい!!
個人的な意見ですが、海外で記録されているM.horstiiと瓜二つな気がします。

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コツノテナガエビ Macrobrachium latimanus

最上流に生息するテナガエビで、遡上力が半端じゃないっす()
名前の通り、額角も短ければ、第2胸脚腕節も極端に短い。(テナガエビとは?

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コツノとチュラを並べた結果。比べてみると、一目瞭然です。 

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クロヨシノボリ Rhinogobius brunneus

全然わからないヨシノボリ類、先輩に同定していただきました。 

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ヤシガニ Birgus Latro 

雨の日のナイトドライブで、発見!! 道路を歩いていました。
実は、撮影後 1km程度先にロードキルされた個体が...(;゚Д゚)
速度には気を付けて運転しましょうね!!

 

とりあえず、前半はここまでとします、次回もぜひお楽しみに!

▼次の記事はこちら▼

▼これまでの記事一覧です▼

春の沖縄遠征(2020-3月)淡水2

こんにちは、ebinaです🦐

前回に引き続き、沖縄島の採集記録の報告をします。
普通種が多かった前回に比べ、レア種多めです。
▼前回の記事はこちら▼

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オニヌマエビ Atyopsis spinipes

ヌマエビとは思えない大きさ Σ(゚Д゚)、ひゅーじ!!
単3電池と比較するとわかりやすいと思います(笑)

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リュウグウヒメエビ Caridina laoagensis

深夜の沢を1人で2時間くらい採集し続けた末の1匹!!
今回の遠征でこの1個体しか見てないので、割とレアな種だと思います。
ただ、トゲナシに鋸歯を付けただけ感が否めない、地味なエビ。 

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オオテナガエビ Macrobrachium grandimanus

大鉗脚のかっこよさ No.1といっても過言ではないテナガエビ!!
自然では体色もいい感じですが、実は普通種。 

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ネッタイテナガエビ Macrobrachium placidulum

名前はシンプルですが、色彩がとても美しいテナガエビ
本島での個体数はかなり少なく、3匹しか確認できず。

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ツブテナガエビ Macrobrachium gracilirostre

日本の淡水エビ界の頂点に君臨する美しさのテナガエビ°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
まさか本島で採集できると思ってなかったので、発狂しました(山奥で)。 

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サカモトサワガニ? Geothelphusa sakamotoanus

正直、全然判別できませんが沖縄固有のサワガニ類です。
なぜ正面から撮影したのか??当時のebinaに聞いてみたい(怒) 

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ツメナガヨコバサミ Clibanarius longitarsus

汽水性のヤドカリですが、河川中流域で採集しました()

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シマヨシノボリ(琉球個体群) Rhinogobius nagoyae

宝石のように青く輝く卵を持つヨシノボリです。
日淡界でも一目置かれる美しさ、実物はもっとすごかった。 

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ボウズハゼ Sicyopterus japonicus

急流を好むテナガエビと同所的に生息するハゼ。どこにでもいます。

 

これにて、沖縄遠征の淡水エビ採集報告 沖縄島編を終了とします。
次回は、離島での採集記録を記事にする予定ですので、乞うご期待!!
今後ともどうぞよろしくお願いします。

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ebina-1.hatenablog.com 

春の沖縄遠征(2020-3月)淡水1

こんにちは、Crazy Shrimp管理人の ebinaです🦐

今回は春休みに行った約1か月間の沖縄遠征の報告をします(^O^)
前回までは、ebinaの素潜りの記事をまとめてきたので
本記事からは、ようやく淡水エビのピックアップですヾ(*´∀`*)ノ
▼前回の記事はこちら▼
 

前回と同様に、淡水エビ+αに限定したとしても、かなりの量の写真があるので
今回は沖縄島に限定した採集記録を報告していきます!

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テナガエビ Macrobrachium nipponense
ミナミテナガエビ Macrobrachium formosense

結構よいサイズの固体だったので撮影、沖縄島でも割と普通種。

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トゲナシヌマエビ Caridina typus

沖縄全体を支配していた普通種でしたね、強すぎる()
採れすぎてもう嫌になってきますよ、本当に。

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ツノナガヌマエビ Caridina grandirostris

トゲナシに次いで多かった、下~中流域のヌマエビです。
形態的にも、場所的にもミゾレヌマエビの額角が長くなった版。

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ヒメヌマエビ Caridina serratirostris

カラーバリエーション豊富なヌマエビ、ぷりちー♡
やはり、関東より圧倒的に個体数は多かったな(関東で採れてない) 

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ザラテテナガエビ Macrobrachium australe

流れのゆるい淵に密集してましたね。
関東の激レアキャラも、沖縄だと普通種ですね(笑)

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イッテンコテナガエビ Palaemon concinnus

P.paucidens の沖縄版というべきスジエビ属、意外とクール。
額角下部に色が出ない点よりスネナガエビとは区別できます。

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スネナガエビ Palaemon debilis

イッテンコテナガエビと似ていますが、額角の色で区別可能。
川というより、海に近い場所で大量発生しています(笑)

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ミナミヒメハゼ Favoniobius reichei

スネナガエビと一緒に採集したハゼ、先輩に同定してもらいました。

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ゴマハゼ類

かの有名な極小魚です。汽水域で群れてて、ぷりちー。

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ナガノゴリ Tridentiger kuroiwae

チチブの沖縄版。チチブより派手な印象を受けた。
体側の黒い線が、チチブにはない威圧感を出してる気がします。

 

思った以上に写真が多かったので、後半に続きまーす。
普通種ばっかりの記事になってしまって申し訳ないですm(__)m
次回は、本島のレアキャラをまとめるので乞うご期待!!

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